Helix Stadium

下鶴光康×Helix Stadium Floor

“Helix Stadiumの音の良さは異世界でしたね”

 硬軟織り交ぜた数多くのアーティストのサポートを務めるギタリストの下鶴光康氏は、オリジナリティのあるフレーズと巧みな音作りに定評のあるプレイヤーだ。今回、下鶴氏にLine 6のHelix Stadium Floor(以下、Helix Stadium)を試していただき、その魅力と音作りのコツについて語ってもらった。



クランチ・サウンドに感じる生々しいフィール

──まず、下鶴さんはLine 6の製品にどういった印象をお持ちですか?
 Line 6の製品は、ライブハウスでも大きいステージでもこういう音を出したいなっていう時に早いというか、すぐに欲しい音を出せる印象がありますね。今は世の中に色々な製品があるんですけど、音が良いというだけのものは、僕はちょっと違うなと思うんですよ。その点、Line 6の製品はもちろん音は良いうえに、ものすごく音作りがしやすい。だからいつも必ず何かのLine 6の製品が僕のボードに入っています。

──Line 6製品の音や使い勝手をよく知ってくださっているわけですね。そんな下鶴さんが今回、初めてHelix Stadiumを試してみてどう感じましたか?
 率直に、ものすごく音が良いですよね。Line 6の音の良さと使い勝手がちょうどいいというところを、さらに越えてきたなという感覚があります。特に、僕はクランチの音色にはこだわりがあるんですけど、やっぱり多くのデジタル・デバイスのクランチはちょっとボサッとした音になる印象があるんです。でもHelix Stadiumはタッチ・レスポンスが良くて、生々しいフィールがありました。

──その「生々しさ」についてご説明いただけますか?
 もちろんピッキングに対する反応の良さもあるんですけど、僕の場合は弾いているときの左手の感触が、リアルに音に反映されているのを感じました。言葉ではなかなか説明が難しいところですが、ちゃんと反応してくれるな、なんか生きてるなっていう感じがしたんです。



新しいモデリング技術である、Agouraアンプ・モデリングでは真空管やトランスの挙動からスピーカーやキャビネットとのダイナミックな相互作用までを再現しており、演奏に対するアンプのレスポンス精度が大幅に向上している。



新機能の“Focus View”は、画面上にサウンドを表現する5つのワードが表示されており、指先一つで複数のパラメーターを非常に簡単に直感的にコントロールできる。


Agouraアンプ・モデルを2台並列で鳴らすこだわりのクランチ・セッティング

──下鶴さんがこだわっているクランチ・サウンドについて、どのように作っているか教えていただけますか?
 まず、いろいろと試す中で、すごくいいクランチだと思った“Brit Plexi”というAgouraアンプ・モデルをメインで使っています。それを軸に、もう一台Agouraアンプ・モデルの“Brit 2203MV”を並列で繋いで、動画では2台をミックスした音を使いました。実際にはブースターなんかも使っているんですけど、音作りとしてはまずアンプだけを使っていいクランチが出ないかなと探すところから始めました。

──実機で2台のアンプをミックスするのはかなり大変ですが、それをすぐに実現できるのはHelix Stadiumの魅力の一つになります。2台をミックスした狙いについて、教えてください。
 単体の“Brit Plexi”の音が僕はすごく好きなんですけど、傾向としてはローが強くてややオールド・ロック的な音なんです。僕はHelix Stadiumは基本的にはライン出しで使いたいと思っていて、この音をラインで出した時にレンジが広いドラムのサウンドに負けてしまわないか少し気になったんですね。そこで、もう少しカリッとしたミッドハイの成分が出ている“Brit 2203MV”の音をミックスして、そのままでも現場で使えるようなジャキッとした音に仕上げました。

──エフェクトについてはどういった使い方をされましたか?
 基本の音はアンプで、それはいじらずにブースターや歪みを少し足していく感じです。まず、“Kinky Boost”を入れると、コード弾きの時にはあまり効果がわからないのですが、単音で弾くと音が少し前に出てくるんですよ。この状態をデフォルトにしていて、そこからリード・ギターを弾くのでもう少しだけゲインが欲しいという時に、オーバードライブの“TeeMah!”を入れます。もうちょっと音が伸びるイメージですね。もう一声、元気よくいきたい時にはトレブル・ブースターの“Deranged Master”を踏みます。ちょっとバキッとするんですけど、この音は僕の趣味みたいなものです(笑)。歪みはこの3種類で、シンプルだけど色々と使えると思いますよ。他には、アンプの補正や部屋鳴り感を加えたくて、残響系を軽くかけたりしています。



下鶴氏が作成したプリセット画面。シンプルながら様々な現場で対応を求められる氏ならではの基本設定が伺える。



モデリングのベースとなったペダルには入手困難な物も多いが、豊富なモデル(https://line6.jp/helix-stadium-models/)が用意されているため、様々な組み合わせで音作りが出来るのも大きな利点だ。


ライブを想定して作ってあるのが嬉しい!

──続いて、Helix Stadiumの機能や操作性の面につきまして。
 やっぱりFocus View(タッチ・パネルに触れながら指をスライドさせるだけで複数のパラメーターが動き、狙ったサウンドに直感的に到達できる機能)は、音作りが簡単に、早く出来るのがいいですよね。あとは、チューナーがすごく良かったです。こういう機種に触って最初にやるのはチューニングなので、そこは気になるところなんですけど、画面が大きくて見やすいし、この画面なら野外での照り返しにも強そうだなと感じました。やっぱりLine 6はライブをやることをしっかり想定して作っている感じですね。地味に、時計が付いているのもありがたいです。例えばリハ中に、スマホを出して時間を見るわけにはいかないこともあるので時間の表記はとても助かるし、ストップウォッチはイベントなんかの進行状況を確認する際にも便利です。こういう一見地味ながら実践的なところやささやかなところまで、すごく考えて作られていますよね。

──今後、Helix Stadiumを導入するとしたらどんな場面で使っていきたいですか?
 Showcaseという機能(膨大なパラメーターや機能をオートメーションで操作できる機能)は、セミナーで音源を流しながら演奏する時に良さそうだなと思います。プロの大きな現場でテックさんやローディーさんがやってくださるようなことを、これ一台で出来ちゃうのは本当にすごい時代になったなと思いますね。僕はまだ使いきれていないですけれども、 Proxy クローニング・エンジンでのキャプチャーもやってみたいです。Helix Stadiumに入っている既存のモデルに加え、好きなアンプ、好きなペダルをいれて統合したシステムとして持ち運べる訳ですから、夢が膨らみますよね。僕は音作りが好きな方ではあるんですけど、Helix Stadiumの良さはまだまだ引き出しきれていないと思うんです。いろいろなアンプ・モデルがあり、たくさんのキャビネットが入っていて、マイクの種類も選べる。エフェクトも、今日の動画では使っていないのですが、モジュレーション系もめちゃくちゃいいんです。そういう印象があるので、さまざまな楽曲のプリセットを作るなど実際に現場で使ってみたいですね。



“Showcase”は、プリセット/スナップショット切替やルーパー操作、MIDIコントロールをテンポ同期で自動化できる先進機能。これまで演奏中に複数の操作を必要としていた楽曲展開や演出をシームレスに統合し、プレイヤーはより自然にパフォーマンスへ没入できる。


●Helix Stadiumアンプ&エフェクト・プロセッサーとは?
 Helix Stadiumアンプ&エフェクト・プロセッサーは、これまで世界中で高く評価されてきたHelixアンプ&エフェクト・プロセッサーをさらに新次元にまで押し上げたLine 6の新製品。パワフルなDSPと全く新しいAgouraモデリングによって、卓越したサウンドと演奏時のダイナミクスへの自然なレスポンス、洗練された直感的なユーザー・インターフェースとコントロール機能を実現している。
Helix Stadiumファミリーは、フラッグシップ・モデルのHelix Stadium XL Floorプロセッサーと、よりシンプルな形に厳選された仕様を持つHelix Stadium Floorプロセッサーを中心に、Expand D10デジタルI/O拡張ユニット、EX2エクスプレッション・ペダル/トゥ・スイッチ、そしてHelix Stadium Backpackで構成されている。

従来のHelix/HX®製品で作成されたプリセットはHelix Stadiumプロセッサーとの互換性を保っているのも、Line 6ファンにとって嬉しいポイントだ。

  

下鶴光康(しもづる みつやす)

熊本県出身。複数のバンド活動を経て、ヨルシカをはじめとする様々なアーティストのサポート・ギタリストとして活躍。オリジナリティ溢れるフレーズとサウンド・メイクが、若年層を中心に高い支持を得ている。2020年には自身のバンド「anone」を結成し、作詞・作曲・編曲を担当。プレイヤーとしてだけでなく、コンポーザー/アレンジャーとしての側面も明確に打ち出した。近年は、多くのツアーやライブのサポートを重ねながら、セミナー講師なども務め、活動の幅をさらに広げている。また、Line 6製品をアマチュア時代から愛用しており、現在はHX Stompを取り入れたハイブリッドな機材システムを運用。アナログ/デジタル双方を自在に組み合わせた柔軟なサウンド・メイクは、多くのギタリストから高い評価を得ている。

Instagram:https://www.instagram.com/simomits/
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取材・文:井戸沼尚也
動画撮影・録音・編集・写真:川村健司


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