TIPS/テクニック

充電池はエフェクト・ペダルで本当に「使える」のか?

充電池は、近年ごく一般的に用いられるようになってきています。しかし、エフェクト・ペダルの電源としてはどれくらい使えるものでしょうか?確認していきましょう。

充電池の種別

理論的には、アルカリ電池の充電式バージョンは、エフェクト・ペダルに適していると言えます。化学的性質は同じでありながら、電池は充電されても爆発したりすることのないような構造になっているからです。充電式アルカリ電池は安価に製造でき、必要なのはシンプルな充電器だけです。無害であり、自己放電も少なく、未使用のままにしておくと、最大10年の貯蔵寿命があります。が、残念ながら、最近はほとんどの会社は作っておらず、9Vのタイプを見つけることはできませんでした。最近の新しいテクノロジーに追いやられてしまったようですね。

充電式アルカリ電池の制約の1つは、内部抵抗が高いことです。これは、大電流のデバイスには適していないことになります。このことは多くのエフェクト・ペダルでは問題になりませんが、テクノロジーは、昨今使用されている高ドレインのデジタル製品に対応するように進化する必要があったわけです。新しい充電対応の化学物質が開発されるに至り、その最初の化学物質の1つがニッケルカドミウム(NiCd)でした。

初期に使用されていた一般的な化学物質には欠点がありました。1つの電池を、廃棄する前に100回、いや1,000回以上充電して使用することは、特に家庭内の電力を太陽光などの再生可能エネルギー源から調達できたりすれば、はるかに環境に優しいはずです。しかし、残念ながら、NiCd充電池に使用されているカドミウムは毒性が高く、廃棄には特別な処理が必要であり、再充電による環境上の利点の多くが失われます。現在、RoHSおよびREACHプログラムの下で、欧州連合ではカドミウムの使用が大幅に制限されており、これらはヨーロッパではほとんど使用することができません。

初期のNiCdセルは、充電放電を繰り返すことによって電池の容量が失われる可能性があるという問題に悩まされていました。この挙動は宇宙の衛星で最初に観察されたという話がありますが、もっと身近な事例もあります。毎日の仕事でラップトップを使用して、いつも特定のレベルまで、たとえば50%までバッテリーを消耗していることを想像してみてください。夕方になると、充電器を接続し、一晩中ゆっくりと充電しておきます。これを1週間ほど行った後、ある日、長旅に出て、すべてのバッテリー容量を使おうとするとします。すると、バッテリーは完全に充電されているように見えますが、毎日の就業時間を「覚えている」かのように、50%で停止してしまいます。このため、これは「メモリー効果」として知られるようになりました。

実際には、セル内の水酸化カドミウム結晶が100倍も大きくなり、内部抵抗が増加して電圧低下を引き起こしていたのです。容量は実際にはまだ残っているものの、デバイスを駆動するために必要な電圧を供給することができなくなっていたのです。この問題は、運動(放電/充電)と再調整(放電をカットオフ電圧未満に遅くする)によって対処できます。近年に設計されたNiCdは、この挙動が大幅に改善されています。

ニッケル水素(NiMH)は、エフェクト・ペダルに適しており、通常使用時の性能で最大1,000回使用することができます。自己放電する傾向があるため、未使用のまま置いてあるだけでチャージされた一部が失われます。ただし、最近は技術の進歩でこれが改善され、容量が250mAh程度の高品質な低自己放電タイプの9V電池は1個あたり1,000円未満で入手でき、充電器も約2,000円程度で購入できます。

9V充電式電池のブロックの新顔はリチウムイオンで、電話やコンピュータなどのスマートガジェットのバッテリーと同じ化学的性質を使用していながら、9Vのフォーマットに収められています。仕様は一見魅力的で、バッテリーは本当に軽く、最大600mAh程度の容量があり、充電器付きの4パックが3,000円程度で購入できるものもあるようです。しかし、多くの選択肢はありません。主要な大手電池メーカーはリチウムイオン充電式電池を提供しておらず、現在入手可能なブランドに関する技術情報はほとんどありません。これはまだ始まったばかりですので、今後どうなっていくかが興味深いですね。

長所と短所

アルカリ
低コスト
低自己放電
無害

9V形式は入手困難
高い内部抵抗


NiCd
高放電率
過充電/放電への高耐性
長いサイクル寿命

重量
有害
低エネルギー密度


NiMH
無害
適度なエネルギー密度
幅広い入手性

高自己放電
過充電/放電への低耐性


Li-Ion
軽量
無害
高エネルギー密度

限定的な選択肢
過充電/放電への低耐性
9Vのフォーマットは未知数

結論

充電池を用意して使うには多少の費用がかかりますが、数年にわたって数百回の充電を行うと、追加の初期費用はすぐに回収できます。耐用年数の終わりに達したとき、100個のアルカリ電池よりも1つの充電式電池を処分する方が、当然のごとく環境にとってより良いことになるでしょう。エフェクト・ペダル、ワイヤレス・マイク、ヘッドホン、ポータブル・レコーダーなどの音楽機器は、充電式バッテリーの重要な対象になるでしょう。

RCカーレースなどのいくつかのニッチな使用目的を除き、NiCdは市場からの退出途上にあります。低容量と有害な内容物は、20世紀の過去の電池技術なのです。

NiMHが、ここではベストバイという評価を得ることになりそうです。 NiMHは適度なエネルギー密度を備えており、一般的なアナログ・エフェクト・ペダルであれば、1回の充電で約20時間使用できます。 9Vを含む一般的な種類の電池のほとんどは、主要な大手ブランドを含むさまざまなメーカーから入手できます。9V NiMHの価格は高くても約1,000円程度で、もっとずっと安価なものもあります。あまりにもローエンドのものは避けた方がよいと思いますが、もう少し出すだけで、評判の良いメーカーの選択肢がたくさんあります。 お買い得なものや簡易型の充電器ではなく、まともな品質の高性能型の充電器を入手してください。高性能型充電器は、過充電やショートの可能性を減らしてくれます。バッテリーを定期的に使用しない場合は、数か月ごとに取り出して、フル充電するようにしましょう。

Li-Ionは最優秀新人賞と言えるでしょう。この化学的性質は、多くの電子機器、コンピュータ、電動工具、医療および産業用アプリケーション、さらには自動車や飛行機の分野でさえも十分に証明されていますが、9Vにはまだ新しいものです。選択肢はかなり限られていますが、軽量でエネルギー密度が高いため魅力的で、将来が有望であると考えられます。


※本ブログはMission Engineering社のウェブサイトに掲載されている記事を、許可を得て翻訳・転載したものです。


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