POD Go Artists

MISAKI & AYUMI(BRIDEAR)

「どんな環境でも同じ音になるっていう安心感」

2021.12.13


MISAKI(左)、AYUMI(右)

ゴシックな衣装に身を包み、ヘヴィメタルの王道を貫くハードかつリッチなサウンドで国内のみならず、海外からも厚い支持を得るガールズバンド、BRIDEAR。テクニカルなツインリードを聴かせるギタリストのMISAKI氏、AYUMI氏はともにPOD Go Wirelessを携えて、2021年9~10月にヨーロッパ・ツアー、そしてその後の国内ツアーを完走した。もともとHelixユーザーである彼女たちがPOD Go Wirelessを選んだ理由とは?


これは間違いなくツアー向き

──スウェーデン公演は入国制限の影響でキャンセルになるなど、この時期のヨーロッパ・ツアーはさまざまな面でタフだったと思います。改めて振り返るといかがですか?
MISAKI 個人としては2~3年ぶりの海外公演だったんですけど……きつかったです(笑)。
AYUMI  正直な話(笑)。
MISAKI うん(笑)、4日連続で国をまたぎながら90分のステージをやっては車で移動して。睡眠も限られた時間ですごく体はしんどかったんですけど、各地とも想像していたよりお客さんが多くて、やっぱりずっと待っていてくれてたんだなということを実感できて、それで乗り切れました。
AYUMI  そうだね、私も行く直前までツアーできるのかな?という感じで不安だったんですけど、なんとか行くことはできました。本当に国をまたぐごとにいろんな困難が待ち受けていたんですけど(笑)、そういう一連のことを乗り越えて、バンドとしてのまとまりとか技術面も絆も深まったというか。すごく得るものが多かったツアーですね。

──予期できないようなトラブルもあったのでしょうか?
MISAKI 二人ともサブ・ギターは借りる予定だったんですけど、ツアー後半しか借りられず、前半戦はギター1本だから弦を切らないように気をつけたり、アンプも行った先で借りたんですけど、プロファイリング・アンプが出てきたりして。これは使ったことがないから無理かも?って言ったら、PAの方が自分のアンプを持ってくるからって言ってくれて、それでリハなしの本番ぶっつけになったり。本当に思うようにいかないことばかりでしたけど、楽しかった。
AYUMI  本当そう、楽しかったし、行ってみないとわからない(笑)。

──その2021ヨーロッパ・ツアー、そして直前の国内ライブからPOD Go Wirelessを導入されましたが、ステージでの使い勝手はいかがですか?
MISAKI もともと私はHelix LTを使っていて。
AYUMI  私もHelix Floorで。
MISAKI Helixはすっごい高音質で、モデルもたくさん種類があって、それがPOD Goにもほぼほぼ入っているのでまず音質に関しては本当に素晴らしいです。それでいて、かなりコンパクトになって軽くなったので、飛行機や車での移動もものすごく助かりました! しかも、(Helixに比べて)制限されているようでいて多機能ですよね? ワイヤレスがセットになっていて便利ですし、センド/リターンも付いていますし、メインアウトとアンプアウトで分けて送れるし、スナップショットも使えるし。
AYUMI  そう、これは間違いなくツアー向きだなって(笑)。

──MISAKIさんはHelixをパラレル・ルーティングで使っていたようですが、POD Goはシリアルのみになります。その点はどう対処しましたか?
MISAKI はい、結構頑張って工夫しました(笑)。Helixではエフェクト・モデルをたくさん置いてストンプ・モードで使っていたんですね。POD Goでは置けるブロックが限られる分、スナップショットを駆使しました。それと基本的には「Simple Pitch」でチューニング変更を対応しているんですけど、「BRAVE NEW WORLD REVISITED」という曲のクリーンの時だけ外部のピッチシフターにつないでます。それで、この曲はクリーンと歪みに差があってアンプ・モデルも変えたかったので、ストンプ・モードに切り替えて別のプリセットを作って対応しています。
AYUMI  やば! 使いこなしてる(笑)。
MISAKI フットスイッチの役割はスナップショットの時と同じようにして、使い勝手は統一してます。


【MISAKI】 ステージではPOD Go Wirelessのアンプアウトから実機アンプのリターンに挿し、4×12キャビネットより出力している。


【AYUMI】MISAKIと同じくPOD Go Wirelessからアンプアウト→実機アンプ、メインアウト→ライン出力と分けて信号を送っている。

Line 6側で音を下げるほうが圧倒的にきれい

──海外ツアー用としてHelixからPOD Goに切り替える上で、研究された感じですね。
MISAKI はい、しました! ワンマン・ツアーなのでたくさんの曲をやったので、いろいろ使いこなさないといけなくて。BRIDEARではドロップDが基本、その半音下げ、1音下げとやるので、あと「Bloody Bride」用も用意してます。プリセットはこれだけで4つ。それから先ほどの「BRAVE NEW WORLD REVISITED」。私が使っているのは大まかにその5種類ですね。
AYUMI  普通のバンドならこんなにチューニングが変わらないし、ホントにPOD Goで十分だよね。というかチューニングを変えるときはギターを替えるよね(笑)?
MISAKI 私たちはPOD GoやHelixに相当頼ってるね(笑)。

──ドロップCまで下げたときの音の追従性はいかがですか?
MISAKI めちゃめちゃいいなと思います。Helixを持っていない頃は単体のピッチシフターを使っていたんですけど、Line 6側で音を下げるほうが圧倒的にきれいだったので。

──国内では二人とも同じブランドの実機アンプをお使いですが、出力はどうしていますか?
AYUMI  POD Goのメインアウトとアンプアウトの両方を使ってます。
MISAKI POD Goのアンプ・モデルを使うことでどの環境でも同じ音になるっていう安心感がありますね。
AYUMI  外音は場合によってラインとマイクをミックスしてるんだっけ?
MISAKI あ、そうだったね。国内はいつものPAさんがやってくれるんですけど、海外だとアンプ出しだけで。ちょっと英語が不安だったので、今回は細かいリクエストはせずにリターン挿しで出した音をマイクで拾ってもらって、それを100%で。

──AYUMIさんはエクスプレッション・ペダルも使っていますね。
AYUMI  はい、ボリューム・ペダルとしてめちゃめちゃ使います。曲によってはワウとしても使いますね。

──ペダルの踏み心地はいかがですか?
AYUMI  すっごく使いやすいですよ。踏み込んで切り替える感触はHelixよりPOD Goのほうが、私的にはちょうど良いというか。とにかくあらゆる面で楽になりましたね。


2021年11月渋谷O-WEST公演の様子。POD Go Wirelessに内蔵するギター・ワイヤレスG10Tを使用し、躍動感のあるステージを披露した。

──AYUMIさんのプリセットは「Dotsuitare」の名のとおりシンプルに攻めていますね。
AYUMI シンプルです! 私はHelixでもPOD Goでもスナップショットを使っていて、基本はバッキング、リード・ソロ、ディレイ、その場に合わせての4つで、EQブロックも入ってますけど、ほとんど使ってないですね。
MISAKI え? めちゃめちゃシンプルだね。これHelixのときも同じ?
AYUMI  うん、あまり変わらないかな。しかもHelixのときけっこう横着して、ひとつのプリセットのなかにすべてのチューニング(Simple Pitch)を入れたり(笑)。
MISAKI そうなんだ~、知らなかった。

──音作りの話はあまりしないんですか?
AYUMI  ですね、実はあまりしてないです(笑)。
MISAKI いや、そんなにシンプルだとは思ってなかった。
AYUMI  そうだ、こないだノイズゲートについて話したね。私はアンプの後ろにノイズゲートが付いてて、それを使っていて。
MISAKI 私は、POD Goの(インプット・ブロック)を使ってます。

──同じバンド、同じ機材でも、それぞれで使い方が異なっていて面白いですね。音にキャラクターが表れていて、歪みではピッキング・ニュアンスがしっかり伝わって、空間系は楽曲を見事に演出する良い音でした。
二人  ありがとうございます(笑)!


MISAKI「Main」
ドロップD、その半音下げ、全音下げというピッチ変更に「Simple Pitch」を使用。クリーントーンのピッチ変更の際に外部ピッチシフターを使用している。ステージでは実機アンプのリターンに挿して使用し、キャビ・ブロックは「4×12 XXL V30」をチョイス。スナップショット・モードを活用しており、その構成は以下のとおり。
[A] メイン:アンプ(ANGL Meteor)とディストーション(Kinky Boost)が中心。
[B] ソロ:ディレイ(Simple Delay)がアンプの後に追加され、アンプのドライブ量やEQ値を会場によって微調整。EQブロックではミドルを3dB程度持ち上げている。
[C] クリーン用として使用。
[D] シチュエーションに応じて変更(ストンプ・モード時にはリバーブを配置)。


MISAKIオリジナル・プリセット「Main」をCUSTOMETONEからダウンロード



AYUMI「Dotsuitare」
チューニング別にプリセットが用意され、スナップショット・モードで最大4つの音色をコントロールする。本プリセットはドロップD用の「Dotsuitare」。シグナルチェーンは、ボリューム・ペダル→ワウ(Fassel)→ディレイ(Simple Delay)→ディストーション(Kinky Boost)→空き→センド/リターン→アンプ(ANGL Meteor)→キャビネット(4×12 XXL V30)→EQ(Low and High Cut)→空き。スナップショットの内訳は以下のとおり。
[A] バッキング:エフェクトはディストーションのみオン。
[B] ソロ:ディレイがオンになり、ディストーションはオフ。歪みはアンプのドライブ・レベルを上げ、マスターレベルやEQなども調整している。
[C] ディレイを深めに設定、変化がほしい際に使用する。
[D] 必要に応じて使用。


AYUMIオリジナル・プリセット「Dotsuitare」をCUSTOMETONEからダウンロード


音の距離感を埋めるために


──共通する音楽的なルーツはありますか?
AYUMI  ゲーム音楽ですかね、世代は一緒なので(笑)。
MISAKI 確かに、音楽的には同じルーツはないかも……?

──それでもバンドではとても息が合うという。
MISAKI そうですね。お互いに寄せたことで、自然と似てきた部分はあると思うんですよ。プリセットも自分としてはいろいろ話してきたつもりなんですけど、ふたを開けてみてびっくりしました(笑)。
AYUMI  大幅に変えるときは相談してくれたりとか、私も聞いたりするんですよ。
MISAKI バンドに入りたての頃も、お互いの音を知ったうえで寄せていった感じだよね。
AYUMI  うん、ツインリードになることも多いしね。あとは、以前はコンパクト・エフェクターだけでやってたので、ソロのときのボリュームをどう上げたらいいんだろう?ってところでけっこう苦労していたので、MISAKIちゃんが使っているHelixを見ていてすごいやりやすそうだなって思って(笑)。最初にレコーディングしたときは、私がアンプのマイク録り、MISAKIちゃんがライン出力で全然感触が違ったのが、今はそういう点でも楽になりました。なんというか、やっぱ距離感が全然違っていたので。
MISAKI 確かに。それは大きいかも。

──今後、POD GoとHelixはどのように使い分けていきましょう?
MISAKI 状況によってライブもレコーディングも使い分けることになりそうだなと思っています。ワンマンライブやウェット音とドライ音の同時録音が必須な録音ではHelixを、POD Goで対応できる状況では、軽くてかさばらないPOD Goを使用したいです。海外ツアーは絶対POD Goですね。
AYUMI  今回国内のツアーでもPOD Goを使ってみて、やっぱり基本的な使い勝手が良くって、どこの会場でも音色に差がなく演奏ができるという利点があるので、私は現場ではPOD Goをどんどん使用していきたいと思います。今回の話を通じてMISAKIちゃんからいろいろ教えてもらえた機能もあるので、試しながらやれることを増やしていけたらと思います。


MISAKIのPOD Go Wireless。エクスプレッション・ペダルは使用せず、クリーン時のピッチ変更用に外部ピッチシフターをセンド/リターンに入れている。音量は手元でコントロール。チューニング別、曲別にプリセットし、スナップショット・モードで使用。ワイヤレスのケーブルトーン機能は10フィート(約3m)に設定している。


AYUMIのPOD Go Wireless。やはりクリーン時のピッチ変更用として外部ペダルをセンド/リターンに入れて、スナップショット・モードで使用している。ケーブルトーンは10フィート(約3m)に設定。使用ギターの出力値に合わせてだろうか、それぞれでマスターボリュームの設定が異なっている。


MISAKIオリジナル・プリセット「Main」をCUSTOMETONEからダウンロード

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BRIDEAR(ブライディア)
2012年、福岡にてガールズ・ヘヴィメタル・バンドとして、KIMI(Vo)、 HARU(Ba)を中心に結成。2016年には初のヨーロッパ・ツアーを敢行。また同年に1stアルバム「BARYTE」もリリースし、国内外での人気の地盤を築いていく。2018年にMISAKI(Gt)が、2019年にAYUMI(Gt)とNATSUMI(Dr)が加入。最新作は現メンバーで制作された「Bloody Bride」。
◎BRIDEARオフィシャルウェブ:https://bridear.jp/

MISAKI
幼少期よりピアノを習得し、その後ギターに傾倒。トロンボーンの演奏経験も持つ。リッチー・ブラックモアや新藤晴一(ポルノグラフィティ)らをルーツに自身のギター・スタイルを育み、MI名古屋校GITにて腕を磨く。3ピース・バンドや、管楽器を交えた8人編成のバンドを経て、2018年にBRIDEARに加入した。
◎MISAKI Twitter:https://twitter.com/misaki_napple

AYUMI
生形真一を手本にギターを始める。楽器歴は多岐に渡り、ピアノ、ベース、ドラムそれぞれでステージ経験を有する。東京スクールオブミュージックで研鑽し、ガールズバンドAstroveryを結成。並行して益若つばさの音楽プロジェクトや、映画「傷だらけの悪魔」の主題歌を歌うLily's Blowのサポート、同映画にも出演した。Bitter&Sweetのサポートなどを経て、2019年にBRIDEARへ加入。
◎AYUMI Twitter:https://mobile.twitter.com/ayumi_355


■POD Go製品詳細
https://line6.jp/podgo/


写真:星野俊


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