TIPS/テクニック

ボリューム・ペダル Q&A

ボリューム・ペダルは、見た目ほどシンプルではないかも知れません。この記事では、ギターや他の楽器とボリューム・ペダルを使用する際のよくある質問とそれに対する回答をご紹介します。

Q: アクティブとパッシブのボリューム・ペダルでは、何が違いますか?

A: これらの違いは、ボリューム・ペダル自体がアクティブまたはパッシブかどうかを意味するのか、実際にはアクティブまたはパッシブ・ピックアップ用のボリューム・ペダルのことを指しているのかで異なり、よく混同されがちです。両者は同じではありませんので整理するために、まずはアクティブおよびパッシブのボリューム・ペダルについて見てみましょう。

パッシブ・ボリューム・ペダルは、基本的にペダルの動作によって機械的に回転するポテンショメータであり、通常のマグネティック・ピックアップ・ギターのボリュームノブとほとんど同じように機能します。パッシブ・ボリューム・ペダルを識別する簡単な方法は、通常は電源を必要としないことです。パッシブ・ボリューム・ペダルは、電源を必要としないため、使いやすく便利ですが、使用する楽器の種類やシグナルチェーンのどこに配置されているかに敏感です。チューナー出力を備えたパッシブ・ボリューム・ペダルは、信号を2つに分岐する必要があるためピックアップに負荷がかかって特に問題になりやすく、高音域が失われることで、いわゆるハイ落ちや音ヤセが発生することがあります。

アクティブ・ボリューム・ペダルには、通常はバッファーとして、場合によってはブーストやチューナー・アイソレーションなどの他の機能に使用されるアンプ回路が含まれています。アクティブ・ボリューム・ペダルには、内蔵した電池または外部からの電源供給が必要です。バッファーは入力側を出力からアイソレートさせ、エフェクト・ペダルや長いケーブルなど、ボリューム・ペダルの後に接続されたものが余分な負荷やそれによる信号のロスを引き起こさないようにします。 パッシブ・ピックアップは、典型的なストラトまたはレスポールに搭載されている通常のシングルコイルまたはハムバッカーです。独自の電源を必要とせず、ピックアップポールの磁場の中で振動する弦から生成された電力のみを使用するだけで動作します。お持ちのエレキギターが電源やバッテリーを必要としない場合、それはパッシブ・ピックアップを備えています。

パッシブ・ピックアップは、典型的なストラトまたはレスポールに搭載されている通常のシングルコイルまたはハムバッカーです。独自の電源を必要とせず、ピックアップポールの磁場の中で振動する弦から生成された電力のみを使用するだけで動作します。お持ちのエレキギターが電源やバッテリーを必要としない場合、それはパッシブ・ピックアップを備えています。

アクティブ・ピックアップには、ご想像のとおり、アンプがあります。これは通常、ギター本体またはピックアップ・アセンブリ自体に組み込まれています。アクティブ・ピックアップには、バッテリーまたは外部電源からの電力が必要です。アクティブまたはパッシブ・ピックアップ用のボリューム・ペダルの選択については、次の質問を参照してください。

Q: ボリューム・ペダルのポテンショメータの抵抗値は重要ですか?

A: パッシブ・ボリューム・ペダルの場合は、重要です。インピーダンスの不一致によるトーンのロスを回避するために、ボリューム・ペダルの入力インピーダンスをピックアップが受けることができる値に極力近づけることが重要です。パッシブ・ピックアップを使用している場合は、通常、250K〜500Kの範囲のパッシブ・ボリューム・ペダルで十分です。アクティブ・ピックアップを使用している場合は、25K〜50Kの範囲のパッシブ・ボリューム・ペダルが必要です。これらを混同すると、インピーダンスの不一致によるトーンのロスが発生する可能性があります。

アクティブ・ボリューム・ペダルを使用している場合は、ポテンショメータの値について気にする必要はありません。この場合、それは内蔵アンプの出力のコントローラーとして機能しているだけです。適切に設計されたアクティブ・ボリューム・ペダルであれば、アクティブとパッシブどちらのピックアップも動作します。

Q: ボリューム・ペダルにはどのようなテーパーが搭載されていますか?

A: ボリューム・コントロールは「オーディオ・テーパー」とも呼ばれ、対数的、または少なくともそれに近いものである必要があります。ログ(対数)コントロールは、回転の開始時に音量をゆっくりと増加させ、終りの方で音量をより急速に増加させます。これは、人間のラウドネス知覚も対数的であるためです。ボリューム・ペダルにリニア(直線的)コントロールを使用した場合は、最初にペダルを動かしたときにすべてのボリュームの増加が発生し、最後の方はほとんど発生していないように感じられるでしょう。対数的ボリューム・コントロールは、ボリュームのスムーズで比例した増加の感覚を提供するのです。

Q: ボリューム・ペダルをエフェクト・ループの中で使うことはできますか?

A: エフェクト・ループには、通常ロー・インピーダンスで、多くの場合、バッファーが備ったデバイスが想定されています。25〜50Kオームの範囲のパッシブ・ボリューム・ペダルは正常に動作するでしょう。エフェクト・ループでハイ・インピーダンスのパッシブ・ボリューム・ペダルを使用することは一般的に推奨されていません。テーパーがスムーズな曲線にならず、オン/オフスイッチのように急激に感じる場合があるからです。

Q: ボリューム・ペダルをエレキギター以外の楽器で使うことはできますか?

A: アクティブ・ボリューム・ペダルは、通常、エレクトリック・ベース、キーボード、ハーモニカ・マイクなど、他の多くの楽器で使用できます。パッシブのピエゾ・エレクトリック・ピックアップで動作するように設計された特殊なPZ互換のペダルは、ギター、バイオリン、チェロ、アップライト・ベースなどのアコースティック楽器で使用することができます。

Q: ボリューム・ペダルをエクスプレッション・ペダルとして使うことはできますか?

A: TRSステレオ・インサート・ケーブルを使用してペダルからの入力と出力をエクスプレッション・コントロール・デバイスに接続することにより、パッシブでロー・インピーダンスのボリューム・ペダルをエクスプレッション・ペダルとして使用できる場合があります。ボリューム・ペダルには概ねログ・ポットが搭載されていますが、エクスプレッション・デバイスは通常リニアな入力を想定しているため、デバイスがログ・ポットに対応するように設計されていない限り、レスポンスがあまりスムーズになりません。Line 6 Helixシリーズを含む一部のデジタル・デバイスは、ボリューム・ペダルをエクスプレッション・ペダルとして使用する場合、ログ・ポットとして動作するための補正を行うようにプログラムできます。

Q: チューナーを接続するとハイ落ち/音痩せの原因になりますか?

A: 楽器の出力とチューナー出力の間で信号を分岐するパッシブ・ボリューム・ペダルを使用している場合は、信号のロスが起きる可能性があります。ロー・インピーダンスのチューナー・デバイスによって負荷が追加され、また信号が2つの異なるパス間で分岐されているため、結果的に信号の高域成分の一部を除去してサウンドのブライトさを抑えるローパス・フィルターとして機能してしまうからです。これは、アイソレートされたチューナー出力を備えたボリューム・ペダルを使用するか、使用していないときにシグナルチェーンとの接続を解除できるハードワイヤー・バイパスを備えたチューナーを使用することで回避できます。

Q: ファズ・ペダルをバッファードのボリューム・ペダルの前に置くとサウンドがおかしくなるのですが、何がいけないのでしょう?

A: トランジスタ・ベースのファズ・ペダルは、ゲインの制限をピックアップのインピーダンス(Z)に依存しているため、バッファーの後では妙な挙動になります。バッファーの出力インピーダンスは低いため、ファズの音が異常に大きくなり、ボリューム・コントロールに反応しなくなることがあります。もう1つの影響は、ファズの低い入力インピーダンスは、ピックアップによって駆動されたときには高域の周波数特性を制限しますが、バッファー経由の低いインピーダンスはより多くの高域を通過させることになり、ファズの音が耳障りになることがあります。 製品によっては、バッファーは常にアクティブでありながら、インピーダンス・スイッチが出力と直列に固定抵抗を追加して、適切なファズサウンドとパフォーマンスを復元するものもあります。

参考文献と謝辞
Keen, R.G. The Secret Life of Pots, for information on pot tapers.
Thanks to Jack Orman for technical information regarding fuzz pedal impedances.


※本ブログはMission Engineering社のウェブサイトに掲載されている記事を、許可を得て翻訳・転載したものです。


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