POD Go Artists

Izo

「POD Goは非常にきめ細かく自分の望み通りにサウンドを追い込めます」

2021.08.26

POD Goを愛用するアーティストたちの使用ケースを紹介する企画「POD Go Artists」。ここではメロディック・デスメタル・バンド、Veiled in Scarletのギタリストであり、ソロ・ギタリストのIzo氏のケースを紹介する。ラック仕様の大型機材とともにプロ・ギタリストとしてのキャリアをスタートさせたIzo氏はいくつかのハードロック/ヘヴィメタル・バンドやサポート活動、またソロ・インスト活動も並行するなかで機材のコンパクト化が進んでいったという。実機を知っているからこそ感じるPOD Goの旨味とは?


これまでの問題点が解決しました

──Izoさんはラックを経験してこられた世代でしょうか?
 はい、往年の16Uとかそういう世代ではないのですが、プリアンプ、パワーアンプ、空間系、パワーサプライなど5U以上のラックを組んでツアーをしていた時期もあります。その後にヘッドとコンパクト・ペダルのスイッチャー・ブームにも乗っかりましたし、時代の流れに即した音作りをしてきましたね。いずれにしても機材は多くなる一方で、ツアーをするのにもう少し減らしたいなと思うようになりまして、フロア型マルチエフェクターを使った時期もあります。ただそうすると今度は現場のアンプに依存するため音作りが安定せず、プログラマブル・ヘッドを導入してみたりと、本当にいろいろと試してきました。

──バンドとソロとでは音作りが異なりますか?
 そうですね。音楽性が違うので、使うギターもチューニングも違いますし、音色はまったく異なりますね。簡単に言うとバンドはメタルで、インストは少しビンテージ寄りです。そういう意味でも機材に汎用性を求めて、できるだけ一台で完結するような方向になりました。そのほうがプレイにも専念できますし。

──そういう流れのなかでPOD Go導入に至った経緯を教えてください。
 はい、皆さん状況は同じだと思いますが、コロナ禍でライブができなくなって配信ライブに切り替えていったんですね。スタジオからバンドで配信する形だったんですけど、ノートPCやカメラを含め持ち込む機材が膨大になってしまって。そこでできるだけコンパクトに、でも音色は犠牲にせず、そして1アクションで操作をしたいと思ってPOD Goを導入しました。それが2021年の1月ですね。

──ご自身での配信は演奏以外にやるべきことが多いですね。
 そうなんですよ。意識することが多すぎてプレイに集中できないなって。Helixシリーズも候補に入っていたのですが、もう少し持ち運びに長けてギターケースのポケットに入るもの、そしてエクスプレッション・ペダル付きのものでって探すと、一択でした(笑)。配信は、スタジオではマイクを2本立ててステレオで、自宅でもギターはラインではなくエアで拾っていますが、今後はより聴きやすいように変えていこうかなと思っております。というのもPOD Goは非常にきめ細かく自分の望み通りにサウンドを追い込めるので、いろいろと試してきた機材の旅路や問題点が解決した感じですね。


ライブ時の出力はメインアウトからステレオでPAへ送り、ステージの中音用にアンプアウトも活用。FXループにはキャラクターの異なる歪みペダルを接続している。

──ライブの際の出力はどうされていますか?
 メインアウトとアンプアウトの2系統で、外音はそれらを混ぜています。アンプは持ち込まないので、その場にあるアンプの状態をチェックしながら音を調整します。また、クリーンではアンプとキャビ・ブロックをオフにするというやり方もしています。

──それは特定の誰かの音作りを参考にしたのでしょうか?
 いえ、メタル用のプリセットではけっこう歪むDas Benzin Leadというアンプ・モデルを使っているのですが、スナップショットでクリーンを作るのに、ドライブやマスターの値を下げても「どクリーン」にはならずクランチ気味なので、言うなれば80年代の卓直のイメージでアンプをオフにしたらちょうど良かったという感じでした。

──Das Benzin Leadの他に愛用するアンプ・モデルは?
 メタル系ですとDas Benzin Leadを選びますが、以前はANGL Meteorを使っていました。Das Benzinのほうがローがもたつかないので気に入っています。インストではInterstate Zedを使います。言い方が適切かわかりませんが、いずれも実機より弾きやすいです。相当数ありますので実機を知らないモデルのほうが多いですが、それぞれイメージに近く、Line 6のモデリングは全体的に音が太い感触がありますね。

──Das Benzinはスナップショットでミドルの値を微調整していますね。
 メタルなのでドンシャリにしていますね。それからサグなどのパラメータも多少いじります。ただそれぞれの具体的効果は表現しづらいので、まずマックスまで上げて引いていく方向で音作りをしました。結果、サグは下げているほうが好きでしたね、モダンな感じで。インストでは、アンプ側はクリーンにして外部ペダルで歪ませます。Interstate Zedはアメリカン系アンプのなかでも丸みがあって好きなんです、ほど良いと言いますか。アルペジオでもカッティングでもいい塩梅になります。

──エフェクト・モデルはいかがですか?
 キャビ・ブロックのあとにEQ(10 Band Graphic)、コーラス(Trinity Chorus)、ディレイ(Dual Delay)、リバーブ(Hall)を使用することが多いです。

オリジナル・プリセット「RV Dz」「Izo Inst STD 1」をCUSTOMETONEからダウンロード


「RV Dz」
バンド用に組まれた、ヤング・ギター2021年7月号POD Go Wireless特集連動動画(2021年6月10日公開)でも披露されているメタル系サウンド。使用するブロックはシグナル順に、ボリュームペダル→ワウ(Throaty)→ゲイン・ブースターとしてディストーション(Teemah!)→コーラス(Chorus)→アンプ(Das Benzin Lead)→キャビネット(サードパーティ製IR)→クリーン時にアンプ・ブロックをオフにした際のレベル補正用EQ(10 Band Graphic)→ディレイ(Dual Delay)のフィードバックはシチュエーションに合わせて調整→リバーブ(Hall)となり、スナップショットにアサインして使用する。


「Izo Inst STD 1」
多彩なサウンドを要するインスト用プリセット。こちらもスナップショットに次のとおりアサインしている。①バッキング:アンプ・モデル(Interstate Zed)はクリーンな状態で、FXループから外部ペダルで歪ませる。②リード:FXループ前にディストーション(Teemah!)を入れてゲインを持ち上げ、EQ(10 Band Graphic)でリード用にミドル調整とローカット、レベルを1dB上げており、ディレイ(Dual Delay)も薄めに足す。 ③クリーン:FXループがオフとなり、コーラス(Trinity Chorus)をミックス65%と深めにかける。ディレイ(Dual Delay)はフィードバックを抑えて少しだけ。リバーブはほとんどの場合Hallを使用し、効果音としてウェットに使うときにSearchlightsをチョイス。 ④リード+ワウ:リード(②)にワウ(Throaty)をオンにした状態。

このサイズにしてやりたいことのすべてができる

──音作りにMac/PC用エディター、POD Go Editをお使いですか?
 はい、実機と半々くらいで使っています。エディターだと見やすいですし、感覚的に作れるのが嬉しいですね。まずベーシックをエディターで作っておいて、バンドのリハで鳴らすと変わってくるので、細かい点は現場で調整することが多いです。

──改めて、IzoさんにとってPOD Goの魅力とは?
 コンパクトで使いやすい点、想像する使い方のほぼすべてができる点、加えて発見がある点、そして音が良い点……すべてですかね(笑)。今のところこのサイズにして自分のやりたいことがすべてできていますし、導入後に相当数持ち歩いていますけど壊れるようなことはありませんし、本当に素晴らしい「解決策」でした。今後何かあるとすれば、POD GoからHelix Floorに発展することですかね(笑)。

──ところでライブではRelay G50ギターワイヤレスもお使いなんですね?
 はい、多くの場合はバンドのときに使っています。ヤング・ギターさんの企画でPOD Go Wirelessも使わせていただきましたけど、G10Tはギターのジャック形状によっては慣れが必要かもしれませんが、差し換えが楽ですよね。それとデジタル・ワイヤレスはクリアな音質に特長があると思います。自分がインストでやる際はもう少し劣化しているほうが好きなのでケーブルでやっていますけど、ケーブルトーン機能を使えばワイヤレスの自由さのまま好きな感触が得られて良さそうだなと思いましたね。


スナップショット時の踏み替えがしやすいように追加したフットスイッチ・キャップやオリジナル・シールでデコレーションされたIzo氏のPOD Go。「機材は丁寧に扱うほう」と自負されており、日々「Go」されながらも目立った傷やトラブルもなく、その活動を足元から支えている。


参考動画



オリジナル・プリセット「RV Dz」「Izo Inst STD 1」をCUSTOMETONEからダウンロード


Izo(イゾー)

山口県生まれ。2000年代前半よりサポート・ギタリストとして活動。2000年代後半には自身のルーツでもあるハードロック/ヘヴィメタル系バンド、AXBITES、VALTHUS、ANCIENT MYTHを経て、現在はメロディック・デスメタル・バンド、Veiled in Scarletのギタリストとして活動する。また、並行していた覆面インスト・ロック・バンド、Mask a Laidの活動休止に伴い、2018年よりソロ・アーティストとしてギター・インストを始動。「聴き易いギターインスト・ロック/ポップ」を標榜し、2020年2月に1stアルバム「Journeyman」を発表。2021年9月15日には2ndアルバム「Just Kidding」をデジタルリリース予定。
◎オフィシャルウェブ:https://izo-guitar.com/
◎Twitter:https://twitter.com/Izo_ViS


写真:星野俊


« 記事一覧に戻る
icon-arrow-up