Variax Talk

阿部 学のVariax Talk #2: オリジナルVariaxとJames Tyler Variaxの違い

2012.10.24

この“Variax Talk”は様々なアーティストのサポートやソロ活動を行い、Variaxギターも知り尽くしたプロギタリスト、阿部学さんによる連載コラムです。現在は James Tyler Variaxギターをライブやレコーディングで活用し、またLine 6のデモでも活躍する阿部さんが、現場ならではのノウハウなどを含めてVariaxを語り尽くします。

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前回はオリジナルVariaxを紹介しましたが、今回はオリジナルVariaxと現行のJames Tyler Variax (以下JTV) の違いについて説明したいと思います。

Variax600_JTV69
オリジナルVariax (左はVariax 600) とJTV-69

まず外観的な大きな違いとして、JTVにはマグネティック・ピックアップが搭載されています。実は最初にJTVを見たときに、このピックアップからの音をベースにしてモデリングのトーンが生み出されているのかと思いましたが、実際には以前と同様にピエゾ・ピックアップが使われています。つまり、マグネティック・ピックアップのサウンドと、ピエゾ・ピックアップを使ったモデリング・サウンドを使い分けられるようになっている訳です。

ギタリストとしては、ピックアップがある方が、見た目にも安心しますが、この両方のピックアップを使い分けられるのは本当に便利です! マグネティック・ピックアップもジェームス・タイラーのデザインによるもので、クセの無いサウンドが素晴らしく、私のようにJames Tyler Guitarを長年使ってきたギタリストも納得します。モデリングに関しても、以前のVariaxより処理能力が上がっており、よりリアルなサウンドだと言えます。ピッキングのニュアンスもこれまで以上に出ますし、ボリューム操作にも敏感に反応してくれます。

マグネティック・ピックアップとモデリングの切り替えも非常に簡単で、ボリュームとトーンの間にあるModelノブを押すだけ。各モデルの名前が光るので、ステージでも見やすくなっています。ノブを押して文字が光ればモデリング、もう一度押し込んでランプが消えればマグネティック・ピックアップのモード。とても簡単で、実用的ですよね?

JTV-69_knobs_and_switchピックアップ、モデリング以外の部分に関しても、その本気度が伺えます。例えばブリッジもジェームス・タイラーのカスタムデザインによるもので、これはかなり苦労して製作されたようですが、現行のJames Tyler GuitarのHipshotやRaw Vintageのサドルを載せたブリッジのような“鈴鳴り”が素晴らしいです。また、ペグに関してもJTV-69ではロックタイプのものが採用されており、弦交換も素早くできます。

というように、ギターとして重要な部分も抜け目無く作られており、モデリング・ギターであるということを全く意識せず、普通に使えるギターになっていると思います。これは、ギタリストにとっては凄く重要な部分ですよね。

それにしても、James Tyler Guitarは50万円から70万円という価格ですが、James Tyler Variaxの場合はStandardモデルなら10万円台、US Custom Seriesでも40万円以下で手に入るので、かなりのバーゲンプライスですよね。

次回はJTVの特筆すべき機能でもある「オルタネート・チューニング」について説明したいと思います。

著者プロフィール: 阿部 学 (あべ まなぶ)
13歳でギターを始め、バンド活動。自己のバンド活動後、7弦ギタリストISAOやベーシストIkuoらと六本木ピットインでのセッション活動や、Line 6製品等のプロダクト・スペシャリストを経て、女性ユニットZweiのサポート・ギタリスト、世界的規模のテーマパークでのショー出演、『バトルギア4』や『グランツーリスモ TV』のゲーム・ミュージックにも参加。

ソロ・アルバム 『Memories』もリリースしている。現在は元flow-warの及崎森平らと“NumberClub”、メロディック・パンク・バンド“叫人Factory”、若手超絶ドラマー大菊勉とのセッション・ユニット“Power of Duo”にて活動するほか、様々なライブやレコーディング、ギター・レッスンに精力的に活動中。

blog.livedoor.jp/manabu_eternity/

abe_memories
『memories』阿部 学

*各製品名は各社が所有する商標であり、Line 6との関連や協力関係はありません。他社の商標は、Line 6がサウンド・モデルの開発において研究したトーンとサウンドを識別する目的でのみ使用されています。

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