Line 6 全般
POD HDマルチエフェクトへアンプ・モデルなどを追加する無償v1.3ファームウェア・アップデート
Line 6のブログを愛読頂き、ありがとうございます。今回のコラムでは、多くの要望を頂きました「V1.3ファームウェア」のアップデート部分に対する、より詳しい解説をお届けします。
By Mike Levine
POD® HDのトータル・アンプ数が22になる、6種類の新しいアンプ・モデルはお気に召しましたか? トーンの調整とコントロールをさらに深いレベルまで行える、5種類の新しいアンプ・パラメーターはいかがでしょう? 最新アップデートである v1.3ファームウェアをインストールすれば、その全てを入手でき、しかも全くの無償です。まだダウンロードされていない場合は、POD HDをUSB経由でコンピューターへ接続し、Line 6 Monkeyを起動して指示に従えば、簡単にアップデートを実行できます。
5種類の新しいモデルのうち4つは、従来よりPOD HDに搭載されていたアンプ・モデルの別チャンネルです。Line 6のDSPグールーにしてモデルのデザイン責任者であるクリス・ダニエルは、「Line 6における、これまでの認識を変えようとしているんです」と述べています。「どのアンプでも、優れたチャンネルはひとつだけだというのがそれですが、実際にはそうではありません!」。
例えば、Blackface ‘Lux VIBは“Blackface” Fender® Deluxe Reverb® をモデリング*しています。クリーンにセットした場合は、輝きがありウォームなクラシックFenderトーンが得られますが、12AX7の真空管ステージもモデリングされているおかげで、非常に表現力豊かでダイナミックなクランチ&ディストーション・トーンも得られます。
“Blackface” Fender® Twin Reverb® をベース*としたモデルであるNormalチャンネルに加えて、v1.3アップデートではBlackface Double VIBが提供されますが、これは同じアンプのVibratoチャンネルをエミュレートしたものです。このチャンネルには独立したプリアンプ回路が搭載されているため、トーンにも独特の個性があります。また、ステージ間のフィルタリング、Blackface ‘Lux VIB同様の追加真空管回路により、高域が持ち上がっています。
新しいTweed B-Man BRTモデルは、“Tweed” Fender® Bassman® のBrightチャンネルをベース*にしたトーンを提供するもので、クランチーなコンボアンプ・トーンを実現します。Brightチャンネルが特有のサウンドになっているのは、最初のプリアンプ管の後半を使用していることも影響していますが、これはNormalチャンネルとは異なる部分です。またボリューム・ノブ周辺のコンデンサーにより、高域がブライトになっています。
Brit J-45 NRM modelは、クラシックなMarshall® JTM45 MkII®ヘッドのNormalチャンネルをエミュレート*しています。POD HDでこのモデルを呼び出して聞いてみると、より丸くてウォームなトーンだということが分かります。Normalチャンネルは12AX7真空管の前半部分のみを使っており、Brightチャンネルにあるハイシェルビング・フィルターは搭載されていませんが、セッティングによりクリーンでもクランチでも素晴らしいサウンドです。Strat® やTele® など、ブライトなギターでクラシックな‘45サウンドを得るには最高です。
ジム・マーシャル氏がデザインしたParkアンプ・ラインは、Marshall® のファクトリーで製造されましたが、ビジネス上の理由でParkという名前になっています。アンプ愛好家達はPark 75ヘッドを高く評価しており、POD HDには最初からBrightチャンネルをベース*としたモデルが搭載されています。1.3アップデートにより、このクラシックなアンプのNormalチャンネルをベースとしたモデルであるBrit P-75 NRMが追加され、それほどトレブリーでないトーンが得られます。
Line 6 Elektrikというアンプも追加されています。これは、実は多くのユーザーからの要望があった、POD HDファームウェア1.1ファームウェアのBomber Uberモデルです。最初は意図的なものでしたが、すぐにサウンド・デザイン・チームがコントロールできないものに突然変異したのです。お分かりのように、これは普通のアンプ・モデルではありません。このスーパー・ハイゲイン・トーンは、“顔が崩れ、魂が泣き叫ぶ”と表現されるようなサウンドですので、注意して使用してください。
アップデートにより追加される新しいアンプ・パラメーターは、新しい6種類のモデルだけでなく、POD HDの全モデルで使用できます。「こうした深いレベルのエディット・パラメーターを提供するのは、新しいHDテクノロジーが実現する能力の高さを紹介するとともに、アンプ・モデルを好みに合わせて、さらに変形させることも可能とするためです」とダニエルは語ります。
Sagは、アンプが演奏されている際に、電圧がどのくらい降下するかをコントロールしています。設定を下げると反応がタイトになり、上げるとさらに潰れたトーンと、優れたタッチレスポンス、より長いサステインが得られます。「アンプ・サグの割合をコントロールすることで、モダンなギタリストがビンテージ・アンプの特徴を抑え込み、より速く演奏できるサウンドにできます」。
新しいHumパラメーターでは、プリアンプ・ヒーターのハム、パワー管プレートのリップルという2タイプのハムがモデリングされています。設定を下げるとサウンドがクリーンナップされ、グラウンドループ的なハムも抑えられます。設定を上げるとディストーションへ癖のある高域 (ヘアと呼ばれます) が追加され、極端な設定にすると筋の通らないサウンドとなります。
Biasパラメーターは、シグナルのディストーション特性へ影響を与え、クラスAバイアス (ハイ・セッティング) とクラスABバイアス (ロー・セッティング) を切り替えられます。Bias Excursionは、パワー管がサチュレート (飽和) したときにのみ起こる現象をモデリングしたものです。低い設定ではサウンドがタイトになり、設定を上げると、より真空管らしいコンプレッションが得られます。
Master Volumeという新パラメーターは、パワー管のディストーション量をコントロールするもので、他の新しいパラメーター全てと相互作用します。「これによりヘッドルームをさらにコントロールでき、ディストーションのスタイルをダイナミックに変えることができます」とダニエルは解説します。Master Volumeコントロールは、ビンテージ・アンプではあまり見かけないので、POD HD内でビンテージなモデルに使用すると、オリジナル・アンプでは得られないサウンドにも設定できます。「ハイゲイン・サウンドをビンテージなクランチに変えることもできます」と、ダニエル。「クランチ・トーンを、よりモダンでアグレッシブなサウンドにすることもできますよ」。
POD HDマルチエフェクトを従来のファームウェアで使用されている方は、本コラムの最初にある指示に従って、新しいHDアンプ・モデルとパラメーターを是非入手してください!
Mike Levine (www.mikelevine.com) はコンポーザー、音楽ジャーナリストとして活躍するニューヨークベースのギタリストです。
*全ての製品名は所有者の商標であり、Line 6との関連や協力関係はありません。他社の商標は、Line 6がサウンド・モデルの開発において研究したトーンとサウンドを識別する目的でのみ使用されています。
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