POD Go Artists

HARU(BRIDEAR)

「POD Goってかわいいですよね、フットスイッチの色も変えられて」

2022.08.03

北欧メタルを敬愛し、その多様性を体現するかのようにメロディアスでパワフル、テクニカルなサウンドを聴かせるガールズバンド、BRIDEAR。2022年で結成から10年、ますます鮮やかで創造性に富む新作「AEGIS OF ATHENA」を携え、恒例となったヨーロッパ・ツアーを今秋も予定している。ギタリストのAYUMI氏、MISAKI氏(2022年7月脱退)はサウンド・システムの対応性の高さからそろってLine 6 Helixを導入。2021年夏にはシステムのさらなる軽量化を求め、POD Go Wirelessにたどり着いたことは既報のとおりだ。一方、バンド結成メンバーであるベーシストHARU氏はペダルボードとアンプ実機で多くのステージ、レコーディングを行ってきたが、ヘヴィなサウンドの屋台骨であるべく、そのヘヴィな機材にも苦慮してきた経緯がある。そして、今秋のヨーロッパ・ツアーを見据えていよいよPOD Go Wirelessの導入に至った。


必要なものは既に入っている

──HARUさんは2022年5月の代官山公演でPOD Go Wirelessをステージ導入されましたね。
 はい、マルチエフェクター・タイプのモデルを使うのは実は初めてなんですけど、ギターのMISAKIとAYUMIがPOD Go Wirelessを使っているのを見ていて、それいいなと(笑)。BRIDEARは海外ツアーが多いんですけど、一番の悩みは機材でした。2021年のヨーロッパ・ツアーの時にこれはちょっと使ってみたいなと思ったのが始まりで。5月の代官山のライブはセットリスト的にも使ってみようかなと思って、そこで導入したっていう。3種類の音色を作って臨みました。いつもの、普段のクリーンとは違うクリーンを使いたいなと思って作りましたね。

──使い勝手の面ではどのような印象でしたか?
 視覚的にすごいわかりやすかったので、スイッチのところに色が付いていたりだとか、こういう系のエフェクトはこの色、みたいな感じがまずわかりやすいなって。それと、POD Goは基本の構成があってそれを自分の好みに設定するだけだったので、最初から使いやすかったです。

──これまでのペダルボードでは主に、歪みとクリーンの2種類をスイッチングしつつ、必要に応じてコンプやイコライザーなどをオン/オフされていたと思います。
 はい、そういう感じでした。もともとコンパクト派なので数を求め出すときりがないんですけど、でも必要なものは既に入っているので、もう、これで十分作っていけるなって。

──HARUさんが実機でお使いだった一部のエフェクト・モデルもPOD Goのなかにモデリングされています。
 ですね(笑)、歪みは「Obsidian 7000」というモデルを使ってます。あれ、これも同じの入ってる?っていろいろ回しながら楽しくなっちゃいました(笑)。まずはそこからですよね。何が入っているかを確認して、ボードに入っているものをここに移していく感覚で作りましたね。また、同じモデルだからといって同じ音という感じでない場合もあるので、逆にそれでいろんなモデルも試せて。それでも行き詰まることもなく、すんなりできました。

──MISAKIさんやAYUMIさんに使い方を確認することもありましたか?
 はい、音作りのことよりもアップデートの方法とか、ワイヤレスのこととか、バンドのなかに聞ける人がいるのは大きかったですね。このワイヤレスは、なんというか、始めからつながるじゃないですか? だから何もしなくても自動ですべて認識するものだと思ってたんですけど、「もっと細かい設定ができるよ」ということはふたりに聞きました。まずはペアリングしたり、チャンネルも手動で設定ができたりと。

──ケーブルを使っている時のような、自然な高域のロールオフを再現した「ケーブルトーン」という機能もあります。
 そう、それ、めっちゃいいですね。私、10フィート(約3m)に設定してます。もともとLine 6のRelay G50を使っていて、もうワイヤレスは必須なので、セットになっているのはすっごく助かります。ワイヤレスもついにこういう時代になったか!って(笑)。このサイレントプラグ、ホント優秀です。

──ご自宅で使用されることもありますか?
 もちろん使ってます、歩けるんで(笑)。やっぱりV(タイプ)だと座って弾けないですし、自宅でも立って弾くことがほとんどで、少し動くとケーブルがどこかに引っかかったりしていたので、これはめちゃくちゃ便利ですね。



メインの歪みサウンド、クリーン・サウンド、それとうるさいの

──ベースにとっておいしいロー・ミッドの出方やダイナミック・レンジの感触についてはいかがでしたか?
 ライブの時もやはりボードと同じように音作りをしたんですけど、リハーサルでDIに送った音を聴いたら、思っていたよりもハイが出ていてビックリして。その時はEQでハイをカットしたんです。その感覚は実機のエフェクターで組んだボードとは違うなと思いました。基本的に微調整は足元にあるEQでやりたいので、そのあたりは問題なく対応できましたね。

──スナップショット・モードをお使いのようですが、どのように設定しているのでしょうか?
 メインの歪みサウンド、クリーン・サウンド、それとうるさいの。今はその3つだけで、1つは今後のために空けてます。今はバンクを変えることもないんですけど、ベースを持ち替えた用にプリセットを作っておこうかなと。

──POD Goのアンプ・モデルはお使いですか?
 いえ、アンプ・モデルは滅多に使わないんですよ。ひとまず「G Cougar 800」を入れてますが、オフにしたまま基本的にはマルチエフェクターの感覚で使ってますね。

──BRIDEARさんの楽曲はダウン・チューニングが多いですが、ピッチ系エフェクトでチューニングに対応するということは?
 そういう使い方はしてなくて、私の場合、チューニング自体が少し特殊で、本当に変なんですけど(笑)、基本5弦ベースの1弦捨てと考えていまして、下からCDGCです。5弦(※正確には4弦)だけ半音上げて、他を1音下げてるという。

──なるほど……かなり特殊ですね。
 BRIDEARでは開放のCとDが必要なので、そこをマストに考えていて、逆に1弦のところは頑張る(笑)。どうしてもいるってなった時にベースを持ち替えると思います。アルバムでは5弦ベースで弾いているので1弦の高い音も入ってるんですけど、そこはライブ用にアレンジしようかなと。5弦持ったほうが早いと思うんですけど、視覚的にも魅せられるベーシストでありたいなと思っていて、そうなると5弦ってちょっと重たくて動きづらいというのがネックで。その点でいくと、やはりワイヤレスもかなり重要です!



あと一歩を自分で詰められる

──ところで、プリセット名が顔文字というのは、初めて見ました(笑)。
 やったー、ウーパールーパーなんです(笑)。どういう音なのかは自分さえわかれば良いので、ウーパールーパーの表情で音を表現してます。私にしか需要がないんですけど、三本線の記号を追加してほしいです(笑)。

──顔文字は、PC経由でエディター(POD Go Edit)を使っても変換ができないので……。
 はい、1個1個手打ちで入れていきました。暇だなー(笑)。でもこういうのも楽しかったです。POD Goってかわいいですよね、フットスイッチの色も変えられるから。

──ありがとうございます。実は前回のファームウェアでスナップショット・フットスイッチのカスタマイズに対応しまして、1.30からそれができるようになりました(※2022年8月現在、最新ファームウェアは1.40)。
 ええ、そうなんですか。最初から備わっていたわけじゃないんですね。ファームウェアを更新したおかげで、かわいくできました(笑)。色で音色を覚えておけばいいですしね。

──そうですね、カスタマイズして自分好みで使っていただけていて良かったです。それと、これまでのペダルボードにはエクスプレッション・ペダルは入っていなかったと思いますが、POD Goではどのように使っていますか?
 普通にボリューム・ペダルとしてですね。曲終わりにフェードアウトする時に使ってます。あると便利です! POD Goのおかげで、エクスプレッション・ペダルっているんだなって再確認しました。ホント、これ1台で完結できるので、海外公演がめっちゃ楽になりそう(笑)。実際、今はそこに向けていろいろと試しながら使っている状態で、まだまだそんなに深くまではたどり着けていないかなって。今までなかったものが当たり前のようにいろいろあるという感覚なので。

──導入する際に何か不安な点はありましたか?
 やっぱり、知り合いのベーシストでPOD Goやマルチエフェクターを使っている人がいなくて、そこは正直不安でした。それでもとにかくPOD Goを導入しようと思ったのは、海外公演で必要だなって感じて。

──その海外では、ライブハウスにあるアンプの状態に音作りが左右されるシーンもあるかと思います。その点、POD Goにアンプ・モデルを入れて、ライン専用のプリセットを作っておくと活躍するシーンがあるかもしれませんね。
 なるほど、そういう可能性はありますね。ヘタったアンプに出会っちゃう時というのは、やっぱりあるので。ツマミ部分が欠けていて調整できないとか、まともに音が出ないとか、そもそもアンプ自体がないという環境もありましたし。そういう時にはPOD Goのアンプ・モデルの登場だなって。それとホント、何よりもバンド内で「聞ける」というのがすごくありがたくて、そういう安心感もありますね。

──2022年、BRIDEARさんは結成から10周年を迎えました。さまざまな機材経験を経てたどり着いたPOD Goについて、HARUさんが感じる魅力を改めて教えてください。
 私、機材好きなんですよ。特に古い機材を買い漁るのがすごく好きで、それを繰り返してきた10年なんですけど、ここにきてコレがきたかって(笑)。ある意味で不思議な感覚なんですけど、この10年のなかで何度も海外に行かせていただいていて、なんだろう、言い方はあれなんですけど、海外っていろいろと雑なところがあるんですよね。それでもスタッフさんの「メタル的感覚」が鋭くて、機材があまり良い状態じゃなくてもなんとかしてくれるんですよ。そこにリスペクトとちょっと悔しさもあって。POD Goを持っていけば、あと一歩を自分で詰められるかなって。必要なものを全部持っていけるようなものなので。10年目にして、ついに発見しました(笑)。


「=(o_o)=」
長年愛用しているペダルボードをPOD Goで再現するべく編まれたプリセット。現在はスナップショット・モードで3つの音色を活用しており、ライブでは基本的にアンプ・モデルを使用せずに実機のアンプに送っている。ボリューム・ペダル→ディストーション「Obsidian 7000」→コンプ「LA Studio Comp」→EQ「10 Band Graphic」(会場によってモデル変更)→コーラス「TriChorus」と並ぶ。スナップショット・ネームをウーパールーパーの顔文字で表現し、スイッチ・カラーもカスタマイズしている。
[A] メイン:「Obsidian 7000」で歪ませたメイン・サウンド。
[B] クリーン:「Obsidian 7000」のDrive、Levelの値を[A]より抑えてあり、イコライザーは会場によって調整。神秘的なサウンドを狙ってコーラスをオンにしている。
[C] :現状空き。
[D] ディストーション:「Obsidian 7000」のDrive、Levelの値を上げて盛大に歪ませ、コンプはスラップをしながら微調整する。歪み感を加えるのにアンプ・モデル「G Cougar 800」をオンにする場合もあるという。


HARU オリジナル・プリセット「=(o_o)=」をCUSTOMTONEからダウンロード



ディスプレイ横にウーパールーパーのシールが貼られたHARUのPOD Go Wireless。[A] のフットスイッチ・カラーも「ウーパールーパー色」のピンクに変更されている。


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HARU
福岡県出身。幼少期よりピアノを始め、吹奏楽部ではクラリネットを経験。JanneDaArcの影響を受けてバンドを結成する。ビジュアル系バンドのギタリストとして活動後、メタル・バンドを結成するのに際してベースへ転向。その後ボーカリストのKIMIとの邂逅を経て、2012年にBRIDEARを結成する。2013年に1stシングル「Thread Of The Light/Roulette」でデビュー。2016年のヨーロッパ・ツアーを端緒に海外でのファンを獲得し、国内外のツアーを活性化する。最新アルバムは2022年発表の「AEGIS OF ATHENA」。
◎BRIDEARオフィシャルウェブ https://bridear.jp/
◎Twitter https://twitter.com/haru_bridear


■POD Go製品詳細
https://line6.jp/podgo/


写真:星野俊


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