アーティスト

Mattias "IA" Eklundh × Helix Stadium XL Floor

“自分のようなシンプルな使い方のプレイヤーほどより明確に感じることがある”

 2025年9月、実に22年ぶりの来日公演を行ったスウェーデン出身のメタル・バンド、フリーク・キッチンのリーダーであり、さらには『フリーク・ギター』と銘打ったアルバムをシリーズで発表するソロ・アーティスト、ギターの集中講座“フリーク・ギター・キャンプ”の主催者、トゥルー・テンペラメントという特殊なフレッティング・メソッドを採用したギター・ブランドFreak Guitar Labの創始者、そしてLine 6 HelixやHX Stompの愛用者という非常に多くの顔を持つユニークなギタリスト、Mattias "IA" Eklundh(以下カナ表記)が、Line 6の新製品Helix Stadium XL Floorを日本国内最速で試奏体験。ここではその時の様子を中心に、Helix Stadiumの魅力の一端をご紹介する。


本記事で紹介している製品:Helix Stadium XL Floor

Helixユーザーから見たHelix Stadium

 上述のとおり、マティアスはすでにLine 6製品のヘビー・ユーザーであり、スタジオでのレコーディングではHelix Rackを愛用、1万人を超える規模の野外コンサートなどではHelix Floorはもちろん、場合によってはHX Stompを使用することもある。
 Helix/HXファミリーにはエフェクトやアンプ、キャビネットのモデリングはもちろん、信号経路の複雑なルーティング設計やスナップショットなどを始めとする高度な機能が搭載されているが、マティアス自身の使い方はごくシンプルで、基本的なプリセットは右記のとおりである。歪み系エフェクトは「Deranged Master」のみ、アンプは「German Ubersonic」もしくは「ANGL Meteor」で、その後に空間系エフェクトの「Simple Delay」を経てキャビネットの「4×12 WhoWatt 100」、最後にサウンドを仕上げる「Simple EQ」というチェーン構成になっている。


HX Edit上におけるマティアスのHelix/HX Stomp用プリセット


 「Deranged Master」はトレブル・ブースターで、アンプはどちらもハイゲイン・タイプ、キャビネットは4x12タイプの中でもブライトなサウンドが特徴のものを選択しているところがポイントとなっている。また、マティアスは利き足が左で、ボリューム・ペダルも左足でコントロールするとのことで、Helix Floorを使う場合も本体のエクスプレッション・ペダルは使用せず、パッシブのボリューム・ペダルを足下向かって左側に置いている。このようにシンプルな使い方が功を奏して、HX Stompに置き換えた場合でも大規模な野外コンサートに対応できるのだろう。


Helix Stadium XL Floorのエクスプレッション・ペダルを試すマティアス


 マティアスがトレブル・ブースターを使ったり、タイトでブライトなサウンドを特徴とするアンプとキャビネットを好んで選んだりするのは、彼がメインで使用する8弦ギターにもその理由がある。チューニングは1弦から順にE-B-G-D-A-E……とここまでは通常のギターと同じだが、7弦と8弦はそれぞれ5弦と6弦の1オクターブ下のA-Eすなわち、4弦ベースの3弦と4弦と同じという構成になっている。このような重低音を実機のギター・アンプ&キャビネットで鳴らしてマイク集音すると、低音弦のサウンドが不明瞭になってしまう場合がある。その点、Helixのモデリングを使い、信号を直接PAに送ることで、明瞭で引き締まった低音が得られるわけだ。

Line 6たる所以

 さて、この新製品Helix Stadium XL Floorは、マティアスを始めとする世界トップ・アーティストからもその実力が高く評価されているHelix Floorを、あらゆる側面からこれでもかと言うほどパワーアップしたアンプ&エフェクト・プロセッサーである。中でも「Agoura」と命名された新開発のモデリング技術によって、真空管アンプの動作時の振る舞いや、キャビネットとスピーカーの鳴りなどの再現性がまったく別次元のものになっており、プレイヤーのダイナミクス表現にもより精密に追随するようになっている。加えて、キャビネットに立てるマイクのアレンジをディスプレイ上で視覚的に行えるようになるなど、ユーザーインターフェースの進化によって、サウンド作りの利便性も大幅に高まった。Agouraの開発と同時にアナログ回路も見直され、より広いダイナミック・レンジとより低いノイズ・レベルでモデリングが再現できるようになっている。マティアスによれば、「その音質の違いは、自分のようなシンプルな使い方のプレイヤーほどより明確に感じることができるはず」とのこと。

 米国カラバサスにあるLine 6の開発拠点には、ドラムやPAシステムなどを設置した大きなステージがあり、そこで実際にLine 6製品を用いてライブ演奏をすることで、所期の性能が発揮できるかどうかを確認しているという。これはつまり、様々なアーティストから意見を取り入れるというだけでなく、製品開発の段階から実際の使用状況でも性能を確認できるということであり、それが音質と機能の両面で、とりわけライブで製品を使用する際の強みにつながっていると言え、ハードウェア/ソフトウェアの両面で群を抜く信頼の歴史を積み上げてきたLine 6たる所以でもある。


Focus View機能について「非常に便利で驚くばかり」と評した


 Helix Stadiumファミリー製品は、モデリングやアナログ回路といった基本性能の部分に止まらず、今後のアップデートによって、アーティスト/プレイヤー/クリエイターたちの要望に寄り添ったまさしく心躍るような機能の追加実装を予定しているという。つまり、Helix Stadiumは「高機能なマルチ・プロセッサー」の範疇を超えて、ステージや制作現場のセンターコントロールとして、新たな可能性を開くポテンシャルを秘めているのである。最後にマティアスの言葉を紹介して本稿を締めくくる。

「今日突然、私の膝の上に未来が降ってきたんだ! ワクワクしているよ」

マティアスによるHelix Floorプリセットをダウンロードするhttps://line6.com/customtone/tone/6008483/


マティアス "IA" エクルンド(Mattias"IA" Eklundh)

1969年、スウェーデン出身の多弦ギタリスト/ボーカリスト。Freak Kitchen や Art Metal、Jonas Hellborg などで活躍し、ソロワーク「Freak Guitar」シリーズではスティーヴ・ヴァイ主宰のレーベル、Favored Nations からも作品を発表している。独自のリズム感と高度なテクニックが特徴で、毎年盛夏の時期に「Freak Guitar Camp」と呼ばれるギター教室をスウェーデンの森の中で主催し、世界中からギタリストが参加。型にはまらないユニークさと、ジャンルを超えた創造性で国際的な評価を得ている。Line 6 Helix Floorユーザー。

◎公式ウェブ:https://www.freakguitar.com/
◎公式YouTube:https://www.youtube.com/user/freakguitartv
◎公式Facebook:https://www.facebook.com/mattias.eklundh/
◎公式Instagram:https://www.instagram.com/mattias_ia_eklundh/
◎公式X:https://x.com/mattiaseklundh


取材・文:坂本信
動画撮影・編集:川村健司


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