Helix Expert Report

石橋楽器渋谷店 加涌陽介【米国本社研修課程修了】

※本記事は2019年9月4日時点のもの、2021年9月より同新宿店に異動

「Helixは入り口が簡単というところこそ最大の魅力」

2019.09.04

Ishibashi Shibuya Kawaku main

 “私たちは、一人でも多くの人に、音楽に参加する楽しさを伝えたい”を企業理念に掲げる石橋楽器店。全国に展開する同社の店舗の中でも、東京・渋谷区の渋谷店はフラッグシップ・ショップと位置付けられており、複合型商業ビルの2階に位置する同店はさながら宝探し感覚で店内を回ることができる充実したショップだ。
 同店にはHelix Expertの加涌陽介さんが在籍し、エフェクターフロアの一角にHelixファミリー製品を弾き比べできる場を設けている。同氏は自らベーシストとしてHelix Floorを愛用しており、経験に基づいた現場視点での説明や提案が、来店客から好評を博している。



【店舗情報】
〒150-0042
東京都渋谷区宇田川町31-2 渋谷BEAM 2F
WEB: https://www.ishibashi.co.jp/store/shibuya.html
TEL: 03-3770-1484


ユーザーが使用するシチュエーションを具体的に聞く接客術

──まずは客層について教えていただけますか?
 最初の1本を探しに来る若いお客様から、高額なヴィンテージ・ギターを目当てに来店されるベテランの方まで、幅広い層の方々にご来店いただいています。その中でもエフェクターフロアは、20~30代の比較的若いお客様が多いように思います。
 僕と、もう一人のスタッフでやはりHelix Expertでもある久保晃一の二人で知恵を出し合って、品揃えはもちろん、見せ方にもこだわっています。もちろんHelixファミリー製品は、棚のエンド部分を使って展開しています。お客様には存分に試奏していただけるよう、Powercabをフラット・モードにしてお待ちしています。

──Helix試奏者には、どのような方が多いでしょうか?
 当店の場合は、そもそもPODを使ったことがあってHelixにも以前より興味があるという方が非常に多いですね。

──そういった方には、どのような接客を心掛けていますか?
 まずはとにかく音を出してみましょうと提案します。デジタルのアンプ・モデルの音、歪みの音に先入観を持っている方もいらっしゃいますので、それを取り払おうという狙いもあります。実際に弾いていただくと、「思っていた音と違う」、「こんなにタッチのニュアンスに反応するんだね」と言っていただけますね。
そこで、お客様が日頃ギターやベースを使っているシチュエーションをお伺いします。「なるほど、ライブの時はエフェクターがあって、アンプがあって、それをマイクで拾っているんですね。それだと毎回毎回調整が必要ですよね」とか、「Helix Floorだったら出力系統を分けてあげて、作った音をそのままPAに送ることもできますよ」などと説明すると、「へぇ、それだったら確かに楽だね」と実際に自分で使っている状況をイメージすることができます。使うシチュエーションが思い浮かんで、納得していただくことが最優先ですね。
 また、アップデートもHelixの魅力のひとつです。お客様には、「Helixのファームウェアはアップデートしますから今後もしかしたらこんなアンプも入るかもしれません」というお話も差し上げます。実際、僕はHelix ExpertになってからアメリカのLine 6本社へ研修で伺い、「こういったものにも取り組もうと思っているんだよ」などというお話を直接聞けたことも大きかったです。そこは説得力を持って「開発チームは日々いろいろとやっていますから、楽しみにしていてください!」と言えるので、お客様にも伝わるのだと思います。

Helixは簡単な操作で良い音を出せる点が随一!

──加涌さん自身は、どのように音楽にのめり込んだのですか?
 高校に入る頃までは音楽に興味がなかったのですが、ある年の暮れに音楽番組でL'Arc-en-Cielが出ているのを観て、ものすごくカッコいいなと思い、バンドをやりたい、ギターを弾きたいと思いました。結局、ギターを弾く友達がたくさんいたので、自分はベースになるのですけど(笑)。
ペダルにのめり込んだのは、入社後新宿店に配属されてからです。当時のフロア長が、ペダル好きで、大いに感化されました。ただし現在の足元は、Helixだけです。

──Helix Expertである加涌さんから見た、Helixの魅力とは?
 ギタープロセッサーにもいろいろありますが、簡単な操作で良い音を出せるという点でHelixは、随一ですね。例えば、「マルチ、苦手なんだよね」とおっしゃるベテランの方にも、「エフェクトを選ぶ、オフにする、動かす、この3つだけで完結しますよ」とお話すると、「本当だ! これでできるんだ」と延々いじり始める方もかなり多いです。少し慣れてきたら「実は、スナップショットという機能があって……」と。作り込めばもちろんすごいんですけど、入り口が簡単というところこそ最大の魅力だと思います。

スナップショットを活用しつつ、いつでも最初の設定に戻れるディスカード・モードがポイント

──加涌さんが使用されているプリセットを教えてください。
 実際にライブで使うことを想定しまして、すべてスナップショットを割り当てています。また、弾いていない時にノイズが出ないようマスター・ミュートスイッチを置いていて、センドにもキャノン・アウトにも音が出ないようにしてスナップショットに保存しています。
 基本的な音色としてはクリーン、オーバードライブ、ファズ、オートワウが入っていて、状況に合わせてクリーンにディレイをかけたり、オーバードライブにディレイをかけたりします。例えば、オートワウを使っている時に、ちょっと歪みが欲しいなという時にはモードを切り替え、すぐに歪みを踏めるようにしています。その時に、ディスカード・モード(※セーブしない限り変更が反映されないモード)にしているのもポイントで、スナップショットでいくらいじっても、一発で最初の設定に戻れるようにしています。
 それからチューニングが変わる曲用に、Helix側で1音半下げにしています。ベース本体で下げるとテンション感が変わってしまいますし、Helixで試したところまったく違和感なく使えたので、これはお勧めしたい点ですね。
 加えて、歪みブロックをふたつ用意し、芯がなくなりがちなファズは直列でつながず、芯の音になるラインを1本残した上でファズを乗せるようにしています。こうすることでドラムに帯域を食われてもおいしいところが残ります。オーバードライブなどはあえて直列でセッティングしていますね。

【オリジナル・プリセット】


──特にベーシストの方は加涌さんに相談するとHelixの魅力をより良く理解いただけそうですね。
 ありがとうございます。自分自身がベーシストで実際にHelixを使っていて、Helix Expertでもあるので、ベーシストの方の現場の悩みがよくわかりますし、それを解決するためにHelixをどう使えば良いか説得力を持ってお伝えできると思っています。もちろん、ギタリストの方も大歓迎ですが、特にベーシストでHelixに興味がある方は、まず当店に足を運んでくれたら嬉しいですね。



【Helix Expert Profile】
加涌陽介(かわく ようすけ)
90年代の邦楽を中心に、幅広い音楽をこよなく愛するベーシスト。2011年、大学卒業後に石橋楽器店に入社。新宿店勤務の後、現在の渋谷店に配属となる。ベーシストの目線から、現場での悩みを解決するソリューションとしてHelixを提案。その説得力の高さには定評がある。

取材・文:井戸沼尚也
写真:星野俊

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