TIPS/テクニック

阿部学のHelixトーク 第9回

『音切れのない音色チェンジ』

今回のHelixトークは、音切れのない音色チェンジを取り上げたいと思います。
といってもパッチチェンジをする訳ではありません。
元々Helixのようなデジタル・プロセッサーはパッチチェンジをする時、どうしても音切れがおきてしまいます。
これはDSPベースのプロセッサーの仕組み上、どうしても避ける事は出来ないものです。

しかしHelixの豊富な機能を使えば、1つのパッチ内で『パッチチェンジ同様の音色チェンジ』が可能になります。
これは最近のセミナーでも取り入れているTipsでもあります。

私が挙げる方法は3つ。
・パラレルルーティングを使う その1
・パラレルルーティングを使う その2
・スナップショット機能を使う

これら方法を取り上げたいと思います。

まずパラレルルーティングを使う方法ですが、ここではシグナルをパラレルにして、各シグナルチェーンに異なるアンプモデリングやエフェクトを配置します。
そのシグナルチェーンの切り替えをフットスイッチにアサインして、ルートを切り換える訳です。

「パラレルルーティングを使う その1」ではシグナルの分岐点であるスプリット・ブロックをフットスイッチにアサインします。

まずスプリット・ブロックをジョイスティックで選択し、Split A/Bにします。

ディスプレイ上の”Route To”パラメーターの下にあるツマミを長押しして任意のフットスイッチにアサインします。

これが一番簡単な方法ですね。
しかもこうする事で、ディレイ等の残響音が残ったまま音色チェンジが可能になります。

そして他のフットスイッチにエフェクトのON/OFFやパラメーターをアサインすれば、さらに便利な使い方が出来ると思います。
また、フットスイッチの代わりにエクスプレッションペダルにアサインすると、クロスフェードさせたスムーズなブレンドによる切り替えができます。

そして「パラレルルーティングを使う その2」ですが、こちらもパラレルルーティングの各シグナルチェーンのルートをフットスイッチで切り換えるのですが、こちらではシグナルが戻った部分(Marge Mixer)の各シグナルレベルをフットスイッチにアサインします。

A Level、B Levelのパラメーターを、フットスイッチを踏んだ時に逆転するようにアサインします。

こちらも音切れなく瞬時に音色チェンジが可能になる訳ですが、切り換えた時にエフェクトの残響音が残りません。

僕はこちらのほうが好みです。
何故かというと、例えばバラード曲を演奏中「ディストーションサウンドからクリーンサウンドに切り替える」ような時、ディストーションサウンドの残響音が残るのに違和感を覚えてしまうのです。
逆もしかりです。

最後はスナップショットを使用した方法。
これは「Helixトーク 第2回」で紹介した方法ですが、もう少し細かく解説したいと思います。
そのスナップショットとは “その時その時の設定を記憶する” 、言わばシーンメモリーのような機能です。
それを今回は利用します。

使用するパッチは上記の「パラレルルーティングを使う その2」の物で、基本的にはシグナルを切り換えた状況を記憶させる訳ですが、さらにパラメーターの数値を変え、エフェクトのON/OFFをさせた物を全部で4つ記憶させました。

1. クリスタルクリーン
2. リズム用ディストーション
3. リード用ディストーション
4. クリーン

各スナップショットの名前も自分がわかりやすいものに変えてあります。
これが1つのパッチ内で出来てしまうのです。

他のパッチと併用することで、物凄く利便性を高められる方法だと思います。

今回は3つアイディアを上げてみましたが、Helixは様々な事が出来るプロセッサーなので、他の方法も考えられるかもしれません。

皆さんも自分なりの使用方法を模索してみましょう!

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Manabu Abe

著者プロフィール: 阿部 学 (あべ まなぶ)
13才でギターを始め、バンド活動。
その後は六本木ピットイン等でのセッション活動や楽器メーカーのインストラクターを経て、女性ユニットZweiのサポートギタリスト、 ディズニーリゾートでのショー出演、セッション活動、ゲームミュージックのレコーディング活動等、精力的に活動。
最近ではLine 6のデモ演奏・セミナー、岩佐美咲(元AKB48)のサポートギタリスト、渡辺美奈代のアニバーサリーライブでのギター参加、他にギターレッスンにも力を入れている。

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