デジタルワイヤレス
デジタルワイヤレス・オーディオ・トラブルシューティング
ワイヤレスのオーディオ・パフォーマンスに関する最大の要因は環境であり、特定の環境下では満足の行くパフォーマンスが得られない可能性があります。これは様々な環境で実現できる、満足の行くパフォーマンスと比較することで検証可能です。
ワイヤレスの問題の多くは、ワイヤレス・システムをバージョン2.0ファームウェア以降へアップデートすることで対応可能です。ファームウェア・バージョン2.0により、従来のRF1モードに加えてRF2モードも使用可能となります。RF1モードは4つのキャリア周波数で伝送を行い、典型的なワイヤレス環境ではより堅牢なパフォーマンスを実現するのに対して、RF2モードは2つのキャリア周波数で伝送を行います。このRF2モードは、WiFiからの干渉が強い環境で両者を共存させた場合に推奨されます。
ワイヤレス・ファームウェアをアップデートする際、ファームウェア・バージョン1.03以降の場合は、ユーザーがXD-V75システムとLine 6 Monkeyを使ってファームウェア・アップデートを行うことも可能です。ファームウェア1.02以前のユニットの場合、またはXD-V75システムにアクセスできない場合は、ティアック修理センターでの作業 (有償) が必要になります。
【最初に確認すべきこと】
・製品に付属するパワーサプライを使用する
・充電池でなく新しいアルカリ電池を使用する (複数の電池で試してください)
・複数のチャンネルを切り替えて確認する
・複数の場所や会場で確認する
・ドロップアウトや干渉が起きている際にはレシーバーのLEDをチェックします。RFドロップアウト (電波の途絶) の際は、緑のLEDが完全にオフになります。緑のLEDがひとつでも点灯していればシグナルは到達しており、ワイヤレスシステム以外に問題があります。赤いLEDが全灯し、その直後に緑のLEDに戻った場合は、システムが再シンクしたことを示しています (ドロップアウトが長時間起こった場合にはノーマルな挙動です)。赤いLEDは、Line 6トランスミッターが存在しない場合にのみ点灯します (この場合には同じ周波数域にある、別のソースからの電波の強さを示しています)。
【干渉】
現象
・RFシグナルの強さを示すフロントパネル上のRF LEDの数が減少
・オーディオ信号がミュート
考えられる原因
・距離が遠過ぎる
・Line 6のレシーバーに対して、他のトランシーバーやイヤモニなどのトランスミッターが近過ぎる
・同じ2.4GHz帯内で近隣からのRF信号が強過ぎる (WiFi、電子レンジなど)
推奨される解決策
・イベントの前にワイヤレスを使用するエリア全体を歩き回り、ミュートの発生を回避するのに十分なRF信号が提供されていることを確認するため、システムの“ウォーク・テスト”を行う
・トランスミッターをオフにした状態でレシーバーの電源を入れてチャンネルをスクロールする。赤いLEDの数が、そのチャンネル上での無関係なRFを示します。最も赤いLEDの数が少ないチャンネルを使用します。注:Line 6のワイヤレスは動作しますが、伝達距離が短くなります。
【伝達範囲の減少】
現象
・全般的なレンジの減少
・屋外と比較して室内での距離が短くなる
考えられる原因
・レシーバーのアンテナとトランスミッターの間の“見通し”がブロックされている
・壁やエアカーテンなどが電波のパスを妨害
・壁を通過する際に伝送が弱くなる
・伝送が地面を通過している (レシーバーが地下にある場合)
・人間の身体による電波エネルギーの吸収
・ハンドヘルド・マイクの底部を覆っている (アンテナをカバー)
・ボディパック・トランスミッターをポケットの中や皮膚と接触させて使っている
・XD-Vシステムのレシーバーのアンテナが、WiFiワイヤレスアクセスポイントなど同じ周波数帯の他のラジエーターへ非常に近い
・パドルアンテナのケーブルの問題 (LMR-195などローロス50Ωケーブルが必須)
解決策
・“見通し”の関係を向上させる
・XD-V55/70/75やRelay G55/G90へリモートパドルアンテナを使い、アンテナ間を30cm程度離す
・Relay G90ユーザーの場合: セットアップ画面で正しいアンテナ・ジャックが選択されていることを確認します。フロントアンテナはC&D、リアのアンテナはA&Bです。設定が誤っていてもユニットは動作しますが、距離は数m程度になってしまう場合があります。なお、Relay G90には両方を同時に使えるポジションもあり、アンテナを4本使うことで信頼性を向上させることができます。
【音量が小さい (他のワイヤレス・システムと比較してオーディオ出力のレベルが低い)】
現象
・オーディオ出力のレベルが低い、またはノイズが多い
考えられる原因
・ミキサーのゲイン/トリム設定の問題
・ラインレベル入力へ接続している
・接続しているチャンネルのPADが有効になっている
・¼” アンバランス出力へTRSプラグを接続している
・特にラベリア・マイクを使用している場合等、シグナルが非常に弱い場合に“環境フィルター”が正しく動作していない
解決策
・ワイヤード・マイクと同様にゲイン/トリムを調整
・レシーバーのXLR出力からミキサーのXLR入力へ接続
・¼” アンバランス出力へモノプラグを接続し、TRSプラグは使用しない
・“環境フィルター”をオフにする
【ドロップアウト (オーディオと電波では、ドロップアウトの解決方法が異なります)】
現象
・オーディオ・シグナルが途切れる
考えられる原因
・トランスミッターをバッテリー持続時間を延ばせる“Lo”パワーに設定することで他の機器へのRF干渉を減少させている
・会場の状況によるもの – 大規模なWiFi設備が近接している、あるいは金属製の壁や屋根が存在している
・楽器やアンプの使い方が間違っている
・シグナルチェーンの問題
・レシーバーのアンテナとトランスミッターのアンテナの間の“見通し”がブロックされている
・トランスミッターがミュート状態
・アンテナの接続が緩んでいる
・アンテナが真上や真下を向いている、あるいは壁に近過ぎる
・別のXD-V/Relayが同一チャンネル上で使用されている
・レシーバーに近過ぎる場所に使用していないトランスミッターがある
・WiFiがオンになっているラップトップ・コンピューターやインイヤ・モニター、トランシーバーなどのトランスミッターがレシーバーのアンテナのそばにある
・別のパワーサプライを使っている
・バッテリーの残量が少ない、もしくはケースへの入れ方の問題
解決策
・トランスミッターを“Hi”パワーへ切り替える
・別の会場で同じ問題が起こるかどうか確認する
・複数の楽器やアンプで同じ問題が起こるかどうか確認する
・シグナルチェーンを順番に辿って確認する。シグナルを受けていることを“Audio”LEDの点灯で確認する
・レシーバーを移動する、トランスミッターをポケットから出すなどして“見通し”の関係を改善する
・トランスミッターのミュートを解除する。Relay G50/G55/G90やXD-V70/75のトランスミッターは、ミュート時にLCD画面が点灯状態を維持
・金属製の柱や壁を避けた位置で、アンテナを1.8 – 2.4 mの高さに上げる
・本体のアンテナがしっかりと接続され、90度の角度に開かれて、何にも接触していないことを確認する
・各システムが異なる動作チャンネルに設定されていることを確認する
・目的のトランスミッターが他のトランスミッターよりも近くに来るように移動することで“遠近”問題を回避する。可能であれば、より近いトランスミッターは“Lo”パワーモードに切り替える
・XD-Vレシーバーと他のトランスミッターとの距離を十分に取る。距離はトランスミッターの強さと送信アンテナのゲインに依存する
・製品に付属するパワーサプライか、必要な9V DC電流を供給できる製品を使用する。ペダルボード用のパワーサプライを使用する際は、ペダルボード全体に十分な電流を供給することが必要
・バッテリーを入れ直すか、または入れ替える。充電池を使っている場合は、一般的なアルカリ電池に入れ替えてテストする
【USB 3.0による2.4 GHz周波数帯への干渉】
USB 3.0コンピューター・ケーブルやハード・ドライブなどの周辺機器は2.4GHz帯の電波干渉を起こすことが知られており、近接している2.4GHz機器の伝送範囲やパフォーマンスに影響を与えます (ワイヤレス・キーボードやマウス、WiFIなど)。Line 6はデジタルワイヤレス・レシーバーを、USB 3.0機器やそのケーブルから最低2m以上離すことを推奨しています。
この干渉に関してIntelは以下のようなドキュメント (英文) を発表しています:
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