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ユーザー・ストーリー: イツエの多彩なギター・トーンを支えたJTV-89とPOD HD Pro

2012.12.14

独特のダークで美しいサウンドを特徴とする女性ボーカル・バンド、イツエがファーストシングル「優しい四季たち」をリリース。この作品に収録された4曲の全ギターサウンドがJames Tyler Variax JTV-89とPOD HD Proの組み合わせでレコーディングされています。

これまでヒットチャートを賑わせる数々のヒット作品に携わってきたベテラン・エンジニアの中村文俊さんは、今回のイツエの作品を手掛けるにあたり、「一律感はありつつも、いろいろなバリエーションのサウンドを試したいと思い、まずはギターの久慈君にレコーディングの1カ月半くらい前から JTV-89POD HD Pro を研究してもらいました」と言います。

yoichiro-kujiギタリストの久慈陽一朗さんは、「(POD HD Proは) 豊富なエフェクトとアンプ、マイクのモデリングが本当に魅力的です」と語ります。「ギターを録ってみて、考えていた混ざり方と異なっていても、その場でギターを含めて音色を変えられるので非常に使い勝手も良いですね。アイディアを持ち込めば無限の可能性を持った音色を作ることができ、僕が今回のシングルで意識していた“音の壁”にも近付けたと思います」。

また、中村さんは「エンジニアの観点から言うと、特にJTVは面白かったですね」と述べています。「イツエは場面展開と空間を大事にしているので、プロの現場でのレコーディングでは、いろいろなタイプのギターを並べてサウンドを変えたりすることもありますが、JTVはそうした欲求に全て応えてくれました」。

「POD HD Proは、基本的にPC上で音を作ってもらいました。そのパッチに私が手を加えることもありましたし、レコーディング時に画面を見ながらコミュニケーションできるのも便利です。限られた日程の中で、日をまたいでレコーディングするときにも、パッチを保存して呼び出せば何の違和感もなく作業が進められるので、とても助かりました」。

また久慈さんは、POD HD Proのサウンドに関して「クリーン・トーンはもちろん、クランチやディストーションでも粒がハッキリ出るし、ピッキングによるニュアンスも出しやすいですね」と語ります。「アコースティック・ギターもリアルで、それでいて生音とも異なる音色を作ることができました。周りのバンド仲間にも、エフェクターやアンプは何を使ったのかと驚かれることも多いですね」。

yoichiro-kuji2こうして作り上げられたギター・サウンドは、アンプを使わずにレコーディングされたとは思えないほど、実に表情豊かなトーンに仕上がっています。「基本的には全てPOD HD Proのラインアウトを録音していますが、何カ所かで聞けるギターのフィードバックは、キーボード用の小さなアンプで鳴らしたものをピックアップに近付けて生み出したものです。工夫次第で、十分に本物らしくなりますね」と、中村さん。「予算や日程の限られたレコーディングで、最大限のサウンドを作り出せたと思います。特にサウンドにバリエーションが必要なバンドには、非常に有効な機材ですね」。

イツエ オフィシャルサイト: http://itsue.jp/index.html

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