Variax Talk

阿部 学のVariax Talk #9: Dream Rig パート2

2012.12.12

前回はDream Rigの概要について簡単に紹介しましたが、今回はサウンドの構築方法や、このDream Rigを使うことでどんなことを実現できるかについて、より具体的な内容を紹介しようと思います。

ギタリストは、シンプルな機材で音を出すのを好むタイプと、よりバリエーション豊かなサウンドを求めて数多くの機材を使うタイプに二分できると思います。この Dream Rig というシステムは、Line 6というブランドやデジタル機材から受ける印象からして、後者のタイプだと思われることが多いでしょうが、実はどちらのタイプにも有用な機材だと思います。

恐らく、「このシステムがシンプル?」と思われる方もいるでしょう。確かにサウンド・バリエーションや機能は豊富ですが、それぞれの役割は複雑なものではありません。

・ギター = James Tyler Variax (JTV)
・エフェクター、コントロール =  POD HD500 (もしくはPOD HD Pro)
・アンプ = DT50またはDT25

この3つだけです。とてもシンプルですよね?

また接続も実に簡単で、JTVからPOD HD500にはVDIケーブル、POD HD500からDTアンプにはL6 LINKケーブル (AES/EBUデジタル・ケーブル) をつなぐだけです。エフェクトの世界では、一昔前はラック・システム、現代ではペダルボード・システムが流行していますが、電源周りなども非常に複雑なものになっています。

しかも大型化・複雑化してくると、専門家に頼まないとノイズ対策をできなかったり…。その上、接続にも多くのパッチ・ケーブルが必要となり、最終的にはとんでもない重量になったりします。私の知人も「オレはシンプルにいきたい」とコンパクト・エフェクター中心に買い始めたものの、あれこれやり始めた結果、最終的に「アスリートにでもなるの?」とツッコミたくなるような重さのケースになってました。これは思い当たる方も、結構いるんじゃないでしょうか?

私自身も昔はスピーカー・キャビネットにラックを積み上げ、足元にゴツいペダルを置いて…なんてやっていて、運搬も大変、セッティングも大変でしたが、このDream Rigの組み合わせだと、荷物はアンプのDT(DT25、DT50の2タイプあり、さまざまなサイズが用意されています)、ペダルのPOD HD500とケーブル関係はバッグにまとめて、あとはギターのJTV。これだけです。

接続に関してもJTV~POD HD500~DTまでがケーブル2本、電源もDTとPOD HD500のみ (JTVにはVDIケーブルを通して電源が供給されます)。これだと運搬・セッティングも楽々と行えます。

その上、通常はPOD HD500だけを使い、重要なライブやレコーディングの時にはDTに接続するというケースでも、基本的には微調整するだけで対応できます。もちろん、POD HD500にDream Rig用のライブラリーを作っておくのも便利で、私もそうしています。

今回は、サウンド面でなく実用性を中心に紹介しましたが、かなりユーザーフレンドリーなシステムと言えると思います。次回は、このDream Rigのサウンド面について紹介したいと思います。

著者プロフィール: 阿部 学 (あべ まなぶ)
13歳でギターを始め、バンド活動。自己のバンド活動後、7弦ギタリストISAOやベーシストIkuoらと六本木ピットインでのセッション活動や、Line 6製品等のプロダクト・スペシャリストを経て、女性ユニットZweiのサポート・ギタリスト、世界的規模のテーマパークでのショー出演、『バトルギア4』や『グランツーリスモ TV』のゲーム・ミュージックにも参加。

ソロ・アルバム 『Memories』もリリースしている。現在は元flow-warの及崎森平らと“NumberClub”、メロディック・パンク・バンド“叫人Factory”、若手超絶ドラマー大菊勉とのセッション・ユニット“Power of Duo”にて活動するほか、様々なライブやレコーディング、ギター・レッスンに精力的に活動中。

blog.livedoor.jp/manabu_eternity/

abe_memories
『memories』阿部 学

*各製品名は各社が所有する商標であり、Line 6との関連や協力関係はありません。他社の商標は、Line 6がサウンド・モデルの開発において研究したトーンとサウンドを識別する目的でのみ使用されています。

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