ライブサウンド製品

StageSourceスピーカー・レビュー: 幅広い対応力を提供する新しいソース

“Line 6がStageSourceファミリーによりパワード・スピーカーへ新たなレベルの対応力を追加”
By Jake Feldman
(Mobile Beat, September 2012より転載)

Line 6の製品と言うと、大抵の人は即座にワイヤレス製品やギター/楽器用アンプやエフェクターを思い浮かべるでしょう。その彼らが今度は、優れた方法によりDJがサウンドを生み出せるソリューションを作り上げたようです。L3tはフルレンジの3ウェイ・スピーカー、L3sはバイアンプ方式のデュアル12インチ・サブウーファー・モジュールであり、今回テスト用に送られて来たのはフルレンジ・トップ2本、サブウーファー1本で構成されたシステムでした。

L3t_Hero第一印象

美的な観点から言うと、StageSource L3tとL3sは現在販売されているどのパワードスピーカーとも異なっています。トップは背が高くラインアレイのようなルックス、サブは細くて奥行きがあるのが特徴で、両モデルともコーナーに丸みがあり、洒落たブラックのデザインを採用。サブは横に寝せることも立てることもできる自由度を持っています。

内部の機能

システムのルックスは魅力的ですが、DJはキャビネットの中がどうなっており、どのように機能するかを知りたがるものです。私がテストしたシステムはトータルで4,000Wものピークパワーを実現しており、うち2,800Wはトライアンプのトップ、1,200Wはローエンド帯域によるものです。ただし、私がこのシステムを試したどのイベントでも (ウェディング2回、企業イベント1回、若者のイベント1回)、ピークまでプッシュする必要はありませんでした。

L3tは10インチLFドライバー2基、HFドライバー1基で構成されたパワフルな3ウェイ・フルレンジ・スピーカー・モジュールで、各LFドライバーは655W (ピーク)、HFドライバーは175W (ピーク) となっています。サウンド面では、このボックスは録音素材のプレイバック (DJ) でも、ライブ・サウンド (特にキーボードは難しいものです) においても、あらゆる帯域を非常にクリアかつ高い精度で再生します。Line 6が、大抵のパワード・スピーカーでスタンダードな2ウェイ・デザインでなく3ウェイ・キャビネットとしたのも、そこに理由があるのでしょう。

このスピーカーは、機能面も重視されています。これまでにレビューした中でも、もっとも充実した機能だと言えるでしょう。サイドとリアに用意されたコントロールとモードは、マニュアルで設定できるだけでなく、Line 6による革新的な (そして非常に優れた) L6 LINKシステムで接続して、“初めてのスマート・ミキサー”と形容される新しいデジタル・コンソール、StageScape M20dで使うこともできます (注: L6 LINKはStageScape M20dミキサーに接続されていなくてもStageSourceスピーカー間で機能します。

L3S-angle-mounts例えばステレオ・シグナルをL/Rのスピーカーへ自動的に送り、モニターや、サブが1台だけ使われている場合には、ステレオ・シグナルをサミングします)。私はそのシステム (Line 6はエコシステムと呼んでいます) がどう機能するのかをNAMMで見て、ライブ・サウンドやDJパフォーマンスの世界では、これから大きなウェーブになると確信しました。

さらなる機能

L3tを設定できるモードには、Reference/PA (メイン・スピーカーとして機能)、Playback (DJセットアップ用)、フロア・モニター、エレクトリック・ギター (疑似アンプとして)、アコースティック・ギター、キーボードがあります。また花婿の従兄弟がアコースティック・ギターを弾きながら「フリーバード」を歌うときのために、レベルコントロール (とチャンネル独立フィードバック・サプレッション) を備えた、ミキシング可能な2系統入力 (XRL & フォーン) がサイドパネルに搭載されています。しかも、彼が「ちょっとリバーブをかけてくれ」と言ったとしても、各チャンネルに独立したリバーブとエコーのコントロールが用意されているので対応可能です。また、リアにメイン入力 (ライン・レベルXLRとフォーン、ステレオRCA) が用意されており、そこにも全体に使えるフィードバック・サプレッション機能が搭載されています。

L3tはフロア・モニターとしても使用でき、スピーカーを横向きにすると自動的にそれを検出してアコースティック・モードからフロア・モニターへと切り替えるという、何とも先進的なジャイロのようなテクノロジーも搭載されています。さらにキャビネットが便利に使えるよう、フロアモニターとして使用した際にサウンドを耳の方向に向けるためのキックスタンドが収められています。

L3sは、12インチのサブウーファー2基を419 (W) x 591 (D) x 867 (H) mmのサイズに収めています。L3sの内蔵クロスオーバーは、4種類のセッティング (80Hz、100Hz、120Hz、オフ) から特性と周波数を簡単に選択できます。XLR & 1/4インチ入力、XLR Thruが搭載されており、L6 Linkシステムでユニットをコントロールすることも可能です。

パフォーマンス

DJにとって、ボイスをどのように再現するかというスピーカーの特性が重視すべきものであることは、トーストで語られる言葉の重要さからも明白です。簡単に選択できるフィードバック・サプレッションとモード機能は、まさにパワード・スピーカーの世界におけるマルチツールです。私が試したあらゆるタイプのセッティングで、言葉は明瞭に聞き取ることができ、緊張した花嫁付き添いの女性がマイクを口から1mも離して持っていても、それに対応できるヘッドルームすらありました。

ローエンドに関しては、若者向けイベントを行った際に感銘を受けました。昨今のポップやヒップホップのマスタリング過程ではハイファイさはかけらも無く、帯域は残虐かつダーティなものになっていますが、L3sはそれも軽々と扱ってしまいました。

カフェで行った、アコースティック・ギターとドラムをベースとするグループをフィーチャーしたライブ・イベントでは、このシステムの対応力に感銘を受けました。アウトボード・プロセッサーは一切使用せずに、彼らからのサウンドの注文全てに、簡単に応えることができました。

MBcover判決

繰り返しになりますが、StageSourceシステムが扱えるイベントでは、その対応力において、まさにマルチツールと呼べる存在です。また、3ウェイのL3tが生み出すサウンドも、とても気に入りました。全ての帯域でクリスピーなサウンドが空間を埋め、さらにボリュームが必要な場合にも、余裕を持って対応できます。Line 6 StageSourceシリーズと過ごした時間は、まぎれも無く楽しいものでした。数百人の前でも (ウェディングや企業イベント)、もっと小規模な場合も (カフェに50人)、システムは私とクライアントの両方に感銘を与えました。

Reprinted with permission from Mobile Beat September, 2012.

www.mobilebeat.com

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