Variax Talk

阿部 学のVariax Talk #7: James Tyler Variax US Custom Series

2012.11.28

by 阿部 学

この“Variax Talk”は様々なアーティストのサポートやソロ活動を行い、Variaxギターも知り尽くしたプロギタリスト、阿部学さんによる連載コラムです。現在はJames Tyler Variaxギターをライブやレコーディングで活用し、またLine 6のデモでも活躍する阿部さんが、現場ならではのノウハウなどを含めてVariaxを語り尽くします。

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今回はJames Tyler Variax (以下JTV) のUS Custom Seriesを紹介していきましょう。

最初に JTV US Custom Series の存在を知ったのは、まだ日本でリリースされる前でしたが、James Tyler Guitars製のギターが好きだった私は多いに興味を持ちました。

JTV69 US Custom Series (Natural Satin)

そして数カ月後、Line 6 Japanのオフィスで初めて弾いたUS Custom Seriesは私の期待を裏切らないものでした。ギターを弾いてる方にはこの感覚が分かると思いますが、まずネックを握った瞬間に違いが分かります。あのハンドクラフトならではの質感、それがUS Custom Seriesの最大の魅力です。(画像はJTV-69-US Custom Seriesのナチュラルサテン・フィニッシュ)

では、いわゆる「値段の高いギター」は、どこが違うのでしょう? もちろん素材の差はあります。US Custom Seriesで使用されているネック材は柾目取り (QUARTERSAWN) されたメイプルで、素晴しい質感です。ペグもJames Tyler Guitarsで使用されているのと同じHipshot製。

しかし決定的に違うのは、やはり組み込み・仕上げだったりする訳です。よく「熟練の職人技」なんて言葉を耳にしますが、楽器はここが凄く重要ですよね。世には値段の高い、有名なギターブランドがたくさんあります。James Tyler Guitarsもそうですね。そうしたギター達に負けない高い質感の魅力が、JTV US Custom Seriesにはあるのです。

この感覚を言葉で説明するのは非常に難しいのですが、ギターに剛性感というか、「しっかり感」があります。この感じは熟練の職人技でしか出せない感覚です。そして生鳴り。個人的にはスタンダード・モデルの生鳴りも好きなんですが、やはりJTV US Custom Seriesは一味違います。手作業でしっかり組み上げられたギターならではの、透き通るような高音が鳴ります。

この音の感じは、ジェームス・タイラー氏の設計による部分が大きいと思います。そのため、スタンダード・モデルでもタイラーならではの音になるわけですが、US Custom Seriesは、よりJames Tyler Guitarsに近い感覚が味わえます。最近私がセミナーなどで使用しているJTV-69-USも素晴らしい調整がされているので、実際に手に取って弾いた方はその高い質感に驚かれます。

abe20120210

また、カラーペイントも違いがあります。技術的には、とにかく手間がかかっていて色の深みが違います。またギタリストとしては、スタンダード・モデルには無い豊富なカラーバリエーションも大きな魅力ですよね。

ここまで、私なりにUS Custom Seriesの魅力を紹介してきましたが、ではVariaxに高級ギターの質感は必要なのでしょうか?

私個人の意見は「Yes」です。確かにVariaxはデジタル・テクノロジーを使ったモデリング・ギターであり、その部分のスペックは同じなのですが、演奏するのが人間である以上、感覚が非常に大切だと思います。そして、「モデリング技術+ずっと弾いていたくなるような満足感」、これがUS Custom Seriesの魅力になっていると思います。まずは是非店頭で、実際に手に取ってその高い質感を味わってください。

次回は、James Tyler VariaxギターとPOD HD、DTアンプで構成された「DreamRig」をご紹介したいと思います。

著者プロフィール: 阿部 学 (あべ まなぶ)
abe_memories13歳でギターを始め、バンド活動。自己のバンド活動後、7弦ギタリストISAOやベーシストIkuoらと六本木ピットインでのセッション活動や、Line 6製品等のプロダクト・スペシャリストを経て、女性ユニットZweiのサポート・ギタリスト、世界的規模のテーマパークでのショー出演、『バトルギア4』や『グランツーリスモ TV』のゲーム・ミュージックにも参加。ソロ・アルバム『Memories』もリリースしている。現在は元flow-warの及崎森平らと“NumberClub”、メロディック・パンク・バンド“叫人Factory”、若手超絶ドラマー大菊勉とのセッション・ユニット“Power of Duo”にて活動するほか、様々なライブやレコーディング、ギター・レッスンに精力的に活動中。

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blog.livedoor.jp/manabu_eternity/

*各製品名は各社が所有する商標であり、Line 6との関連や協力関係はありません。他社の商標は、Line 6がサウンド・モデルの開発において研究したトーンとサウンドを識別する目的でのみ使用されています。

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