Variax Talk

阿部 学のVariax Talk #6: ギタリスト阿部学のJTV使用法

2012.11.21

この“Variax Talk”は様々なアーティストのサポートやソロ活動を行い、Variaxギターも知り尽くしたプロギタリスト、阿部学さんによる連載コラムです。現在はJames Tyler Variaxギターをライブやレコーディングで活用し、またLine 6のデモでも活躍する阿部さんが、現場ならではのノウハウなどを含めてVariaxを語り尽くします。

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James Tyler Variaxギターは、オリジナルVariaxとは異なりマグネティック・ピックアップ (エレキギターの通常のピックアップ) も搭載していますので、2通りの使い方があります。

・Variaxモードのみ使用
・マグネティック・ピックアップとVariaxモードを切り替えて使用

私はJTVが搭載しているマグネティック・ピックアップのナチュラルなサウンドもとても気に入っているので、マグネティック・ピックアップをメインに使いつつ、要所要所でVariaxモードを使う方法を採っています。

例えば、JTV-69を基本的にはSSHのギターとして使用し、ソロを取る時にパワーのあるLESTER (Les Paul®をベースとしたモデル) のハムバッカーのトーンを使用したり、アルペジオを弾く時にT-MODEL (Telecaster®をベースとしたモデル) のフロント・リアのミックスを使用したりします。また、マグネティック・ピックアップとLESTERのフロント、SEMI (ES®-335をベースとしたモデル)  のフロント、JAZZBOX (ES®-175をベースとしたモデル) のフロント・ピックアップを使い分けることも多くあります。

アコースティック・ギターのモデリングと併用する使い方も有効です。先日参加した渡辺美奈代さんのライブでもアコースティック・ギターの音が必要になり、セットリストの関係上ギターを持ち替える時間が無かったので、この方法を取りました。通常のギターではできないような、JTVならではの便利さに助けられました。もし、このギターを使っていなかったら、どうなっていたのだろうと思います。

abe_Oct21-2012

このようにJTVは凄く便利なギターですが、こうした使い方をすると、どうしても操作が忙しくなってしまいます。それを解消できるのが、MODELノブの端に用意されている「Custom」バンクです。このバンクでは任意のモデリングとピックアップの組み合わせを、ピックアップ・セレクターへ自由に登録できるようになっています。

これにより自由度がさらに高くなり、5-WayのセレクターにSPANK (Stratocaster®をベースとしたモデル) のフロント、LESTERのフロント、アコースティック、シタール、LESTERのリアという、通常のギターでは到底不可能な組み合わせも実現します。

私が活動しているバンドのひとつ、「叫人Factory」のレコーディング (全編に渡ってJTVを使用) でもこうした使い方をしており、SPANKのフロントとハーフトーン、T-MODELのフロント・リアミックス、LESTERのリアをCustomモードに登録し、さらにマグネティック・ピックアップも併用してレコーディングしました。

また、VDIケーブルを使用するとトーンの選択 (モデルとピックアップ・セレクターのポジション) をPOD HD500やPOD HD Proのプリセットと連動させることも可能です。これは別の機会に詳しく説明しようと思いますが、Variaxモデルの選択だけでなく、マグネティック・ピックアップと併用したり、オルタネート・チューニングまでプリセットと連動できます。

先日JTVのv1.9ファームウェアがリリースされました。ピエゾ・ピックアップを使用する性質上、ブリッジ・ミュートを使用した演奏では、場合により若干音がコモる傾向にありました。それが今回のバージョン・アップでかなり改善されています。ハードなサウンドを使用されるギタリストには朗報ですよね! ここまで出来るJTVは、自分にとってはもはや無くてはならないギターです。

次回のVariax Talkでは US Custom Series のモデルについて紹介しようと思います。

著者プロフィール: 阿部 学 (あべ まなぶ)
abe_memories13歳でギターを始め、バンド活動。自己のバンド活動後、7弦ギタリストISAOやベーシストIkuoらと六本木ピットインでのセッション活動や、Line 6製品等のプロダクト・スペシャリストを経て、女性ユニットZweiのサポート・ギタリスト、世界的規模のテーマパークでのショー出演、『バトルギア4』や『グランツーリスモ TV』のゲーム・ミュージックにも参加。ソロ・アルバム『Memories』もリリースしている。現在は元flow-warの及崎森平らと“NumberClub”、メロディック・パンク・バンド“叫人Factory”、若手超絶ドラマー大菊勉とのセッション・ユニット“Power of Duo”にて活動するほか、様々なライブやレコーディング、ギター・レッスンに精力的に活動中。

blog.livedoor.jp/manabu_eternity/

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*各製品名は各社が所有する商標であり、Line 6との関連や協力関係はありません。他社の商標は、Line 6がサウンド・モデルの開発において研究したトーンとサウンドを識別する目的でのみ使用されています。

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