Variax Talk

阿部 学のVariax Talk #4: オルタネート・チューニング機能の利便性と自由度

2012.11.07

この“Variax Talk”は様々なアーティストのサポートやソロ活動を行い、Variaxギターも知り尽くしたプロギタリスト、阿部学さんによる連載コラムです。現在はJames Tyler Variaxギターをライブやレコーディングで活用し、またLine 6のデモでも活躍する阿部さんが、現場ならではのノウハウなどを含めてVariaxを語り尽くします。

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今回もオルタネート・チューニング機能を取り上げ、その利便性と自由度を解説していきましょう。

まず利便性に関して。前回の繰り返しになりますが、この機能が素晴らしいのは究めて実用的なところです。私が「JTV体感セミナー」で弾いているYouTube動画を観て頂けると分かる通り、ピッキング・ニュアンスも損なわれませんし、チョーキングやアーミングも通常通りに行えます。ギタリストは音に表情を付けるため、ピッキングの強弱や角度を変えるだけでなく、親指をピッキングと同時に弦に当てたり、アームを使ったりするわけですが、そうしたニュアンスはオルタネート・チューニングで音程を変えていても、そのまま反映されます。ヘッドホンを使って弾いていると、オルタネート・チューニングを使っているのを忘れるくらい自然です。

ここまで実用的だとライブ・ステージで活躍するだけでなく、他の用途でも実力を大いに発揮します。

例えばオリジナル・ソングを演奏する場合、ボーカリストとのキー決めの時にも、オルタネート・チューニング機能があればダイヤルを回してチューニングを変えながら調整、なんてこともできますし、ボーカリストが急に「キーを半音下げたい」なんて言い出しても大丈夫です(これはついこの間、本当に起こりました)。

好きなギタリストのコピーをしたり、音源に合わせて練習したりする時にも有効です。最近はダウン・チューニングの曲も多いですが、私がギターを始めた学生の頃に好きだったイングヴェイ・マルムスティーン等のHR/HMのジャンルでも半音下げチューニングが多く、曲を練習する度にチューニングし直していました。しかしこの機能があれば、もうその必要はありません。レッスンの際なども、課題で使用する曲がレギュラーチューニングでは無い場合、この機能を有効に使用しています。

しかも、その自由度が大きな魅力です。前回も触れた通り、最初の時点で11種類のチューニングがプリセットされていますが、それだけで終わらないのがJTVの凄いところ。何とチューニングを自由自在に設定できるので、普段あまり馴染みの無い変則チューニングにも対応できます。しかもPCに繋いだりすることなく、JTV本体だけで簡単に設定可能で、馴れてしまえば数十秒もあれば十分です。

私がこれを実際に使うのは、アコースティックギター等のソロ・ギターのコピーや練習をする時です。アコースティック・ギターによるソロ・ギターのジャンルは変則チューニングが当たり前と言っても良いくらいで、例えば私が好きなギタリストも6弦からBb、F、Bb、F、C、Eに2カポという、凄い変則チューニングで弾いています。これまではチューニングするのも一苦労でしたが、JTVになってからは設定さえしておけばダイヤルを回すだけで完了!です。

その他、ヘビーなサウンドが売りのバンドなどが使う2音下げチューニングにも簡単に対応可能。この機能のためだけでもJTVを使う価値があるくらいです。なお、こうしたチューニングの設定に関しては、POD HD500の画面や、PCソフトウェア“Variax Workbench”を使って視覚的に変更することも可能です。この辺りはまた改めて解説したいと思います。

ということで、オルタネート・チューニングの素晴らしさはお分かり頂けたでしょうか? 皆さんも是非とも店頭で体感してみてください。

次回のVariax Talkでは、JTVを実際に使う上で重要になる「機材としての実用性」に関して説明したいと思います。

著者プロフィール: 阿部 学 (あべ まなぶ)
13歳でギターを始め、バンド活動。自己のバンド活動後、7弦ギタリストISAOやベーシストIkuoらと六本木ピットインでのセッション活動や、Line 6製品等のプロダクト・スペシャリストを経て、女性ユニットZweiのサポート・ギタリスト、世界的規模のテーマパークでのショー出演、『バトルギア4』や『グランツーリスモ TV』のゲーム・ミュージックにも参加。

ソロ・アルバム 『Memories』もリリースしている。現在は元flow-warの及崎森平らと“NumberClub”、メロディック・パンク・バンド“叫人Factory”、若手超絶ドラマー大菊勉とのセッション・ユニット“Power of Duo”にて活動するほか、様々なライブやレコーディング、ギター・レッスンに精力的に活動中。

blog.livedoor.jp/manabu_eternity/

abe_memories
『memories』阿部 学

*各製品名は各社が所有する商標であり、Line 6との関連や協力関係はありません。他社の商標は、Line 6がサウンド・モデルの開発において研究したトーンとサウンドを識別する目的でのみ使用されています。

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