Variax Talk

阿部 学のVariax Talk #1: Variaxギターとは

2012.10.10

この“Variax Talk”は様々なアーティストのサポートやソロ活動を行うプロギタリストで、Variaxギターを知り尽くした阿部学さんによる連載コラムです。現在はJames Tyler Variaxギターをライブやレコーディングで活用し、またLine 6のデモでも活躍する阿部さんが、現場ならではのノウハウなどを含めてVariaxを語り尽くします。

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abe_jtv69usモデリング・ギターという言葉から、どんな楽器を想像しますか? 私がモデリングという言葉を初めて知ったのは、Line 6のPODでした。もう10年以上も前のことですが、物凄く話題になっていて、楽器店の店頭でも山積みになり、とにかく皆がこぞって買ってましたねぇ。誰もが新しい時代の到来を感じていたと思います。

まあ、PODのことは皆さんよくご存知だと思うので、ここでは詳しくは触れませんが、そのPODにはアンプやエフェクター、キャビネット等が“モデリング”されていました。そして、Variaxではなんとギターがモデリングされています!

実はVariaxをエフェクター内蔵のギターだと思っている人も結構多いようなんですが、もちろんエフェクターは入っていません。PODがアンプやエフェクターをモデリングしていたように、Variaxではギターがモデリングされているのです。実にLine 6ならではの発想ですよね。

それまでにも、「◯◯タイプのギターをシミュレート」したものは存在していましたが、例えばテレキャスターのシングル・ピックアップとストラトキャスターのシングル・ピックアップのサウンドは全然違いますよね? ハムバッカーにしてもレスポールとES-335だと、もう完全に別物です。それをVariaxでは、各ギターのモデルを丸ごと“モデリング”してしまうのですが、本当にLine 6らしいですよね!

この“ギター・モデル”では、ピックアップのポジションやボリューム、トーンコントロールの効き方など、コントロール部分も全てモデリングされています。オリジナルVariaxではマグネティック・ピックアップも搭載されていませんでしたが、フロント・ピックアップのトーンも、ハーフトーンも出てしまいます。しかも、それが本当にリアルです。

デモンストレーションの際、ストラトのフロント・ピックアップ~ハーフトーン~テレキャスターのフロント&リアのミックスなんかを鳴らすんですが、誰もが納得します。このギターが発売された当初(実は日本で最初にVariaxのデモ演奏をしたのは私だと思います)、音の遅れを気にされている方も多かったのですが、いわゆるギター・シンセとは異なりピエゾ・ピックアップで拾った弦振動をプロセスしているので、全く気にすることは無いでしょう。

エレキギター以外にもアコースティックや12弦ギター、シタール、バンジョーのモデリングまで入っていて、特にシタールあたりは実際に鳴らすとその再現度には誰もが驚きます。ES-175等の箱物のギターも本当にリアルです。

その後、シリーズにはVariax 700、Variax 300などのラインナップが追加されました。こうして書くと隙の無い最強のギターだと思えますが、少々苦労する部分があったのも事実です。しかし、その辺りは昨年発売された James Tyler Variax ギターで見事に解決しており、さらに進化しています!

ということで、次回はオリジナルのVariaxと、現行のJTVこと“James Tyler Variax”の違いを解説したいと思います。

著者プロフィール: 阿部 学 (あべ まなぶ)
13歳でギターを始め、バンド活動。自己のバンド活動後、7弦ギタリストISAOやベーシストIkuoらと六本木ピットインでのセッション活動や、Line 6製品等のプロダクト・スペシャリストを経て、女性ユニットZweiのサポート・ギタリスト、世界的規模のテーマパークでのショー出演、『バトルギア4』や『グランツーリスモ TV』のゲーム・ミュージックにも参加。

ソロ・アルバム 『Memories』もリリースしている。現在は元flow-warの及崎森平らと“NumberClub”、メロディック・パンク・バンド“叫人Factory”、若手超絶ドラマー大菊勉とのセッション・ユニット“Power of Duo”にて活動するほか、様々なライブやレコーディング、ギター・レッスンに精力的に活動中。

blog.livedoor.jp/manabu_eternity/

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『memories』阿部 学

*各製品名は各社が所有する商標であり、Line 6との関連や協力関係はありません。他社の商標は、Line 6がサウンド・モデルの開発において研究したトーンとサウンドを識別する目的でのみ使用されています。

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