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バックステージとツアー: ジョニー・スターバック氏が30年に渡るローリング・ストーンズのローディ生活を語る (Part 1)
By Line6Miller
バンドのローディやテックを務めるのは簡単なことではありません。史上最も偉大なロックロール・バンドのローディになるなど、考えるだけでも恐ろしいことですが、ジョニー・スターバック氏がやっているのは、まさにそれなのです。ジョニーは30年以上もローリング・ストーンズのローディとして世界を回っている人物であり、このLine 6ブログのためにインタビューできる機会が訪れたのには、本当にゾクゾクしました。私にとってローリング・ストーンズは最も好きなバンドのひとつですから、その裏方としての人生や、ストーンズのような神々しい存在とロードに出るのがどんな感じなのかを垣間見れるのを、とても楽しみにしていました。
まず、どうやってローディになることができたのかを教えてもらえますか?
私はロサンゼルスの、ハリウッドやサンセットストリップからそれほど遠くないところで育った。その当時 (1969年)、ストリップやハリウッドのあらゆる場所に、たくさんのクラブがあったね。ライブ・ミュージックに溢れていたよ。私は、できるだけバンドをたくさん見たいと思っていた。ある日“ローディ”という言葉を聞いて、それこそが自分が目指すものだと思ったんだ。そして、その晩にクラブで演奏するバンドは、トラックから荷物を降ろすため午後3時か4時に到着して、サウンド・チェックのためにセットアップするものだということが分かった。
私は20歳でお金も無かったので、見たいバンドがあれば3時か4時にクラブへ行き、ボランティアとして荷物を降ろしてセットアップを手伝うようになった。そういう手助けはいつも歓迎されたし、クラブにもタダで入れたよ。それがしばらく続いたんだが、そのうちバンドに、毎回30kmも離れた家から通いたくないならベーシストのところのソファーで寝て、フルタイムで働かないかと言われたんだ。彼らが稼いだ金はリハーサル・ホールとトラックのレンタルに消えていたから、給料は無かったけどね。でも泊まる場所と食べ物があれば良かった。そのうち別のバンドが給料を払ってくれることになり、後からもっと給料の良いバンドにオファーを受けたりして、他のローディ達とアパートをシェアできるようになった。我々の目標はロスから離れて、できるだけツアーに出ることだった。そんな感じで6年働いて、少しずつ有名なバンドと仕事をし、徐々にだが給料も上がったね。
1976年にはビリー・プレストンの仕事をしていたんだが、彼がローリング・ストーンからキーボード・プレイヤーとして呼ばれたとき、自分のローディを連れてくるように言われたんだ。何せ、凄い数の機材を使っていたからね (Yamahaグランドピアノ、Hammond B-3、Wurlitzerエレクトリック・ピアノ、Fender Rhodesエレクトリック・ピアノ、さらに首からはシンセサイザーを提げていました)。
それ以来、ストーンズはツアーの度に連絡をくれて、おかしなことに今でもトラックから荷物を降ろし、ライブはタダで見られているんだ。
それ以来、ストーンズはツアーの度に連絡をくれて、おかしなことに今でもトラックから荷物を降ろし、ライブはタダで見られているんだ。
ローディとしての仕事を覚える段階で、誰か特定の人から助けてもらったりしましたか?
最初の頃に? そんな人はいなかったよ。最初はどんなことになるか、何を学べばいいのかも分からなかった。だってナイトクラブにタダで入ろうとしていただけだからね。楽器やアンプ、サウンドシステムのことも全く知らなかった。ただトラックから荷物を降ろし、機材を運んでいただけだよ。
あの当時は本当にシンプルだったね。バンドのメンバーが自分たちの機材をセットアップしていたから、私の仕事は重いものを持つだけだった。後になって、どうやってケーブルを繋ぐかを理解し、ドラムやキーボードのセットアップを学んで、少しはバンドの助けをできるようになったよ。
その6年の間、計画していたわけではないが、どのようにローディになるかを少しずつ学んでいった。そして、ローリング・ストーンズの有名なローディ、チュッチ・マギーと仕事をするようになった。ローディは皆、チュッチのことを知っていた。ギタリストが皆、ジェフ・ベックのことを知っているようにね。
ビリー・プレストンがストーンズの仕事に連れて行ってくれたときは、伝説的な連中との仕事だと分かっていたから物凄くナーバスになったよ。でも、彼は私の欠点にも寛容で守ってくれたし、本当にプロフェッショナルとして仕事を行うことを学ばせてもらったね。
これまでのキャリアで最も大変だったことは?
それは間違いなく、最初に機能させるときだね。ローディの仕事がどのくらいのものになるか分からないから。ベーシストのソファーで寝かせてくれた最初のバンドの後、他のバンドと仕事をすることになったが、住む場所を持つだけの稼ぎが無かった。だから仕事の間は友人の家のソファーで寝たし、何度かハリウッドの公園で寝たこともあるな。ほかに行くところが無かったから。夜は、ローディやロックスター達が集まる、有名なレインボーバー&グリルをうろついてネットワークを維持して、誰かがクルーに入れてくれ、ロードに出られる機会を探していたんだ。
もちろん、普通の仕事を見つけて夢を諦めるという選択肢もあったろう。でも自分の中の何かが、それを許さなかったんだ。それで諦めずに続けたんだよ。
そのうち評価されるようになり、仕事が増えてくるとツアーに出る期間も長くなったので、住む場所の必要性も低くなった。そして仕事が十分に安定したものになると、仕事していないときに他のローディ達とアパートをシェアできるようになったんだ。今振り返ってみると、そんな決断をしたことに驚かされるが、そうしなければ諦めてしまい、全然違う人生になっていただろうね。
それは間違いなく、最初に機能させるときだね。ローディの仕事がどのくらいのものになるか分からないから。
仕事を始めたころと比較すると、今はステージやクルー、セットアップなどは大幅に異なっていますか?
私はそうした変化を全て見てきたと思う。最初に仕事をしたのは、もちろんハリウッドの小さなバンドだったから、ちょっとしたライトと小さなサウンド・システムのあるナイトクラブのステージ用の、バンドの機材だけしかなかった。当時はビッグなバンドでもアリーナでは演奏していなかったし、大抵は後ろにカーテンのあるステージだったからね。
ストーンズの仕事を始めた1976年は、バンドとクルー全員がホテルの同じフロアに滞在していた。バンド・クルー(当時は、まだ“バックライン”という言葉すら存在しません)とライティング担当者3、4人、サウンド担当者3、4人とロード・マネージャーを含めてクルーは12人くらいだけだったよ。スクリーンも無ければ、楽屋もケータリングも無かった。プロモーターは契約上、何かしらランチと暖かいディナーを出さなければならなかったけど、ランチはデリで、ディナーはケンタッキーフライドチキンだったね。
いまやストーンズのクルーは、バックライン、サウンド、ライト、ビデオ、楽屋、ケータリング、電源、ステージ・マネージャー、アシスタント・ステージ・マネージャー、3、4人のスタッフを抱えたプロダクション・マネージャーなど120人もいる。カーペンターと呼ばれる数人のクルーもいて、ショーを行うために必要なものを何でも作ってくれるんだ。ステージを組み立てるのは2日がかりで、そのために別チームも揃っている。70年代と現在では驚くほどの違いがあるね。
ロードに出ている間の、最も楽しかった出来事をひとつ挙げるとしたら?
それは難しいな。ひとつだろう?ロードの最中にエンジョイしたことは、物凄くたくさんあるからな。外国へのツアーは全てそうだし (訪れた国は54カ国になった)、オープニングアクトなどを務めた多くのバンド、それに長い一日の最後に荷物を積み終わってトラックをロックするときなど、小さな思い出もたくさんある。
でもずっと心に残っていることをひとつだけ挙げるとしたら、ストーンズの連中が信じられないくらいにノっていたステージだろうね。ショーの間、実は演奏中の曲にはそれほど注意を払っていないんだ。いつも次の曲のことを考え、数分先に使うギターの準備をしているからね。常に先を読んでいるんだ。でも時々、動きが止まって「いま聞こえているものは一体何だ?」と感じ、辺りを見回してバックステージで一緒に働いている連中にも聞こえたかどうかを確認するんだが、すぐに全員が階段を駆け上るようなことがある。すると、ギタリストがドラマーの前にいて、皆笑っている。彼らが感じている瞬間を、我々も感じているんだ。そのときストーンズは最高の演奏をしていて、本当に素晴らしいステージが実現している。正直なところ、それは全部のステージで起こる訳ではない。全部のツアーで10回くらいかな。でもそれが起こったときは本当に見物だよ。
その瞬間には、いつも「これこそが自分がこの仕事を続け、いつも戻ってくる理由だ」と自分に語りかけるんだ。あんな瞬間は、ほかには無い。そのときこそ、彼らが世界最高のロックンロール・バンドという称号に値するね。そして、自分がどれほど幸運なのかを理解するんだ。
注:Line 6はローリング・ストーンズとの関連はありません。
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