TIPS/テクニック

Relayギター・ワイヤレスの魅力を探る: 理想的な “バーチャル” ケーブル

Line 6の Relayデジタル・ギター・ワイヤレス・システム は、その高音質や信頼性の高さ、簡単な操作性などにより世界中で大ヒットを記録しています。一度体験すれば、従来の“アナログ”ワイヤレス・システムと全く次元の異なる製品であることがお分かり頂けると思いますが、そうした魅力を実現している理由を、このブログ・シリーズでご紹介していきましょう。

Relayデジタル・ワイヤレスの重要なコンセプトは、“バーチャルなケーブル”だということです。ギターやベースなど、トランスミッターへ入力された楽器が、そのまま見えないケーブルでアンプやDI、プリアンプやミキサーなどへ接続されていると考えることで、このシステムの特徴と魅力が、より簡単に理解いただけるでしょう。

従来のアナログ・ワイヤレス・システムでは音そのものを変調して電波で送るため、トランスミッターや電波、レシーバーなど、あらゆる過程で音の変化が起こっていました。また法律による制限などで送信できる帯域幅にも制限があるため、トランスミッター上で信号を圧縮し、それをレシーバーで伸張する“コンパンダー”も必要でした。このコンパンダーにより見かけ上のダイナミクスを広くできますが、アタック感や低域の特性などギターやベースのサウンドの大切な要素へ影響を与えてしまい、それがいわゆる“ワイヤレスっぽい”サウンドを生み出していたのです。また、こうしたプロセスにより音量も変化するため、手作業によるゲイン調整も必要でした。ギターのトーンやゲインが変わってしまうのは、ギタリストにとっては重大な問題ですよね?

Line 6のRelayデジタル・ワイヤレス・システムでは、トランスミッターへ入力された信号はすぐに高音質な非圧縮24-bitデジタル・オーディオのデータに変換され、それがレシーバー側でオーディオ信号へ変換されて出力されるため、10 Hz – 20 kHzの周波数特性、120 dBのダイナミック・レンジ (Relay G30は118 dB) という、ハイファイ・オーディオ同様のクオリティを実現できます。レベル調整も必要無いため、入力されたものがそのまま出力されるという、まさに“見えないケーブル”として機能します。また、このバーチャル・ケーブルは、長くなってもサウンドが劣化しないのも大きな特徴です。レシーバーのすぐそばにいても、システムの限界に近い場所まで離れても (最も伝送距離の長いRelay G90で見通し90 m)、サウンドクオリティは常に同じに保たれます。

幅広い入力レベルに対応

ピエゾ・ピックアップや、通常のピックアップとブリッジ・サドル・ピックアップを組み合わせたステレオ・ピックアップを搭載した楽器であっても、その楽器をアンプに接続した際に適切なサウンドが得られるのであれば、Relayシステムを使っても問題なく動作します。Relayのトランスミッターは非常に高い入力インピーダンス (1.3 MΩ) を採用しており、これは大抵のピエゾ・ピックアップ用プリアンプと同等か、それ以上です。また、プリアンプを内蔵したアクティブ・インストゥルメントの場合も、9V電池1本で動作するアクティブ・プリアンプであれば、問題なくRelayシステムを使用できます。そう、ここでも“バーチャルなケーブル”になっているのです。

ダブル9Vプリアンプの場合は、理論的にはトランスミッターの入力がクリップする可能性がありますが、実際にはまず起こらないでしょう。万一それが起こった場合は、マスター・ボリュームを少し下げるか、ケーブルにパッドを加えるか、もしくは電池を1本外してください。

Relayシステムはギターやベースに最適ですが、これらの楽器に限定されているわけではありません。キーボードやエレクトロニック・パーカッション、さらにはiPadなど、さまざまな楽器に使用されています。また、このバーチャルなケーブルは、楽器からダイレクトに接続する以外にも、さまざまな使い方ができます。例えばエフェクター・ボードからの出力をアンプへワイヤレスで送るのにも威力を発揮します。

ノイズやヒスが増えたように聞こえる?

Relayを使うと、ギターから30 cm程度のケーブルで接続していることになり(その先はバーチャルなケーブルなので音質劣化もありません)、従来の長いケーブルによって変化したサウンドと比較すると、ずっとハイが強いシグナルを送っていることになります。これにより、システム内のノイズやヒスがより明瞭になったと感じられることがあります。高音質ならではの現象だと言えますが、こうしたサウンドの違いは、ケーブルによる音質変化をシミュレートするCABLE TONE機能により補正できます。なお、アコースティック・ギターなどを使っている場合には、CABLE TONE機能をオフにすることで、これまで耳にしたことのないようなフレッシュなサウンドが得られます。

プレミアム・ケーブル
ギターからトランスミッターまでのケーブルにもこだわりたい場合は、プレミアム・ケーブル・オプションが利用できます。これは、より高品位なギター・ケーブルとコネクターで構成されており、Relay G30のTBP06トランスミッター、Relay G50/90システム用のTBP12トランスミッター用に、それぞれ標準とL字ジャックのバリエーションが用意されています。

(写真はRelay G50/90用の標準とL字ジャックのオプション・ケーブル)

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