POD HD

POD HDマルチエフェクト・プロセッサーのエフェクト解説: Analog w/Mod

By Line6Miller

このコラムをご愛読いただき、ありがとうございます! これまで本シリーズでは、POD HDマルチエフェクト・プロセッサーのファミリーに収められた非常に人気の高い3種類のディレイ・モデルであるAnalog Echo (Boss® DM-2ディレイがベース*) とTube Echo(Maestro® EP-1がベース*)、Tape Echo (Maestro EP-3がベース*) の歴史について紹介してきました。

初めてお読みになった方は、このLine 6 Japanブログの過去のポストも是非チェックしてください。

さて、今回はPOD HDマルチエフェクト・プロセッサーファミリーに搭載されているAnalog w/Modディレイを紹介します。このエフェクトは、Electro-Harmonixの著名なペダルをベース*にしたものです。そう、あのクラシックなElectro-Harmonix® Deluxe Memory Manのことです。

Electro-Harmonixは、1968年にマイク・マシューズが、わずか1,000ドルで設立した会社です。同社はその後10年で急激な成長を遂げ、その当時では最大規模のエフェクト・ペダル・メーカーになりました。このDeluxe Memory Manも、その数年間にElectro-Harmonixが製造した、時代を超越したエフェクトのひとつです。

Boss® DM-2ペダルにインスパイア*されたAnalog Echoエフェクト同様、Analog w/ModディレイもBBDタイプのディレイであり、アナログ・シグナルはサーキットボード上にある連続したコンデンサーへ送られ、シグナルのレートはオシレーター・クロックによりコントロールされています。

このクラシックなディレイ・ペダルを愛用したミュージシャンで、特に有名なのがU2のジ・エッジです。クラシックなエッジ・トーンの出発点が必要なら、まずはこのエフェクトを使ってみましょう。

The Deluxe Memory Manには6つのパラメーターが用意されています:

- Blend (Mix)
- Level
- Feedback
- Chorus/Vibrato (Mod Speed)
- Depth
- Delay (Time)

このディレイ・エフェクトを使ったPOD HDマルチエフェクト・プロセッサー用のトーンを、Custom Toneからダウンロードできるように幾つか作成しました。POD HD300、POD HD400、POD HD500、POD HDデスクトップ用のオプションがあり、Line6Millers Tonesに用意されています。

HugeHair

これは楽しいトーンです。80年代っぽいグラム・サウンドをキャプチャーすべく、ハイゲイン・アンプ・モデルに、モジュレーションを少し上げたAnalog w/Modディレイを使っています。こうすることで、揺らめくようなトーンが得られます。ハイゲイン・アンプの世界では真のクラシックである、Mesa Boogie® Dual Rectifierアンプをベース*としたTreadplateアンプ・モデルを使用。デフォルトの4×12 Treadplate V-30キャビネットのスタックに、87 Condenser Micでマイキングしています。

シグナル・チェーンにはNoise Gateも追加しており、Decayは35%、Thresholdは15%に設定しました。これにより、サステインを殺すことなく、少しノイズを抑えられます。ディレイの方はDepthパラメーターを70%と、かなり高い値にすることで、揺れる感じをプラス。トーンの設定時には、デュアル・ハムバッカー・ギターを使って、ピックアップ・セレクターをリア・ポジションにしました。このトーンを演奏するときは、ブリッジミュートを使い、それからパワーコードをサステインさせることで、揺れた感じを分かりやすくします。

» HugeHair300

» HugeHair400

» HugeHair500

» HugeHairDesktop

YouToo

このトーンはU2のジ・エッジによるクラシックなディレイにインスパイアされたもので、彼の作るようなサウンドに近いものになっています。このトーンのトリックはシンプルです。一方のディレイはショート・ディレイ・タイムでフォードバックはほんのわずかかゼロ、もう一方のディレイはそれより長いディレイ・タイムにして十分にフィードバックを上げ、2台のClass A-30 TBアンプ・モデルでトーンを丸くします。とても心地よいディレイ・トーンなので、きっとお気に召すと思いますよ!

» YouToo500

» YouTooDesktop

(HD300、HD400用のトーンは用意されていません)

Mantra

これも楽しいオリジナル・トーンです。特定のアーティストやバンドのトーンをイメージしているわけではなく、楽しくてちょっと変わったサウンドを作ろうとしました。Octo Reverbによる不気味なクワイアのようなトーンが好きなので、それも追加しています。ディレイ・モデルのDepthパラメーターは少し上げてあり、アンプ・モデルにはBlackface ‘Lux Nrmを使いました。

» Mantra500

» MantraDesktop

(HD300、HD400用のトーンは用意されていません)

Fortress of Solitude

理由は分かりませんが、このトーンを演奏するとスーパーマンと水晶が思い浮かびます。それはともかく、すごく良い感じのオーバードライブ・トーンに、滑らかなAnalog w/Modエフェクトが追加されています。Delayタイムのパラメーターは比較的低く設定されており、Feedbackは60%です。Class A-15アンプ・モデルがトーンに追加するクランチが好きなので、そのモデルを使っています。

» Fortress300

» Fortress400

» Fortress500

» FortressDesktop

今後も是非続けて読んでください。次回取り上げるMulti Headディレイ・エフェクトは、やはり伝説的なディレイ・ディバイスである、Roland® RE-101 Space Echoをベース*としています。とても強烈なエフェクトなので、お見逃しなく! 最後までお読みいただき、ありがとうございました。では、また次回!

*各製品名は各社が所有する商標であり、Line 6との関連や協力関係はありません。他社の商標は、Line 6がサウンド・モデルの開発において研究したトーンとサウンドを識別する目的でのみ使用されています。

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