POD HD

POD HDマルチエフェクト・プロセッサーのエフェクト解説シリーズ

Line 6がデジタル・モデリング・アンプを発明したことは既にご存知だと思いますが、それと同時に多くの方が、当社を高品質なオーディオ・エフェクト・プロセッサーストンプボックス・モデラーの業界リーダーであるとも考えています。Maestro® EP-3 Echoplexのような伝説的なアナログ・テープ・ディレイから、Eventide® H3000にインスパイア*されたモダンで先進的なSmart Harmonyエフェクトに至るまで、これまでに100種類以上ものビンテージ&モダン・エフェクトのモデリングを行なってきました。

これほど多くのエフェクトから選択できるため、トーンの可能性はエンドレスだと言えるでしょう。POD® HD マルチエフェクト・プロセッサーと、そこに搭載されているユニークなシグナル・チェーンを実現する能力を組み合わせることにより、想像力の赴くままに音作りができます。その一方で、これらのエフェクトへ簡単にアクセスできるからといって、各エフェクトで実際に何ができるのか、どうやって使うべきかを理解できるとは必ずしも言えません。

このブログ・シリーズでは、POD HD マルチエフェクト・プロセッサーペダルに搭載されている個々のエフェクトを順番に解説していく予定です。各パラメーターとその役割を解説し、また私個人のお気に入りの設定も紹介します。また、著名アーティストやバンドのトーンへ設定する方法も取り上げて行きましょう。では、早速始めましょう!

ディレイ・エフェクト: その働きと起源

ディレイ・エフェクトは、私も使うのが大好きなタイプのエフェクトであり、無数の楽曲やアルバムに使われています。アーティストによっては、ディレイ・エフェクトのみで独自のサウンドを作り出しています。U2の「The Streets Have No Name」(邦題:約束の地) に、もしジ・エッジのクラシックなディレイ・リードがリズムを鳴らしていなかったら、どんなサウンドになっていたか想像もつきませんよね。

最も初期のディレイ・エフェクトは、ちょっと手間のかかるものでした。エンジニアやミュージシャンはアナログ・テープによるレコーディング・システム上でテープ・ループを使い、テープ・ループの長さを変更したり、録再生ヘッドの調整をしたりしていました。そのため、ディレイさせたエコーのコントロールや操作が可能だったのです。このテクニックが発明される前は、ミュージシャンはこうした効果を自然の残響環境でキャプチャーする必要がありました。とても大変ですね!

ディレイ・エフェクトが音楽業界で人気を獲得するにつれ、何社かの楽器メーカーが、この効果をずっと簡単にエミュレートできるような製品を開発しました。マイク・バトルが1959年にデザインしたオリジナルの真空管Echoplexが、Roland Space Echoなど、よりモダンな70年代のディレイ・デバイスへと進化したのです。

70年代終わりに登場した低価格なパーツにより、デジタル・ディレイ・テクノロジーも実現。80年代にポピュラーになったIbanezやBossのデジタル・ディレイでは、オーディオ入力シグナルがアナログ-to-デジタル・コンバーターへサンプリングされて、それがデジタル・シグナル・プロセッサー内で処理され、ユーザーはオーディオ・バッファー内で特定のパラメーターをコントロールして、それが出力段へと送られます。

デジタル・ディレイにより、アナログ・ディレイ以上に充実したパラメーターのコントロールが可能となりました。ドライとプロセスされたシグナルのミックスや、オーディオ・バッファー内でシグナルを戻す時間量(フィードバック)をコントロールできます。

現在、膨大な数のディレイ・ペダルやストンプボックスが市場をにぎわせていますが、POD HD マルチエフェクト・プロセッサーには、他のどんなマルチエフェクト・プロセッサーと比較しても最高のビンテージ&モダン・ディレイのコレクションが搭載されています。次回のブログでは、POD HDファミリーのAnalog Echoディレイ・モデルを紹介し、また、そのモデリングのベースとなったBoss® DM2 Analog Delayについても簡単に解説します。このエフェクトの各パラメーターとその働きを紹介し、また個人的なお気に入りの設定も紹介します。では次回!

*各製品名は各社が所有する商標であり、Line 6との関連や協力関係はありません。他社の商標は、Line 6がサウンド・モデルの開発において研究したトーンとサウンドを識別する目的でのみ使用されています。

« 記事一覧に戻る
icon-arrow-up