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デジタルワイヤレス・システム運用のベストプラクティス: WiFiスペースでの安定運用

2013.10.28

WiFiスペースでの安定運用

ワイヤレス・システムに優れたパフォーマンスを発揮させるには、システムのイントールやイベント、ツアーを問わず、これまで業界内で培われてきた最善の運用方法の知識とノウハウを、適切に実行することが重要です。それにより、現場で多くのワイヤレス・チャンネルが必要な場合にも、1システムのみが必要な場合も、使用するワイヤレス・システムの能力を最大限に活用できます。

以下に紹介する方法により、Line 6デジタルワイヤレス・システムが実現するパフォーマンス上のメリットをフルに発揮してください。

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ステップ3: 2.4 GHz ISMバンドでの安定運用

Line 6 XD-Vシリーズ、Relayシリーズのデジタルワイヤレスは2.4 GHz ISMバンドで動作しています。そのため、ユーザーはLine 6ワイヤレスシステムを、免許無しにセットアップして使用することができます。周波数プランの作成や運用調整、相互変調の計算、アナログ・システムには有害なTVやホワイトスペースの干渉を心配する必要もありません。

この2.4 GHz ISMバンドが、WiFiネットワークも使用していることを理解することは大切です。大抵の場合、WiFiネットワークとLine 6デジタルワイヤレス・システムを同時に使用しても問題はありません。XD-VやRelayのシステムを少ないチャンネル数で使っている場合、WiFiやその他の2.4 GHz機器に関する心配は不要で、チャンネルを選択するだけで使用できます。5チャンネル以上のデジタルワイヤレス・システムを使っている場合は、時間をかけて最高のチャンネル・コンフィギュレーションを理解することで、最高のパフォーマンスを実現できます。ここで紹介するガイドラインに従うことで、Line 6デジタルワイヤレス・システムのパフォーマンスをフル活用したメリットを享受することが可能です。

2.4GHzの無線LAN

Line 6デジタルワイヤレスのチャンネルは、WiFiを妨害しないよう設定されています。大抵の場合、Line 6デジタルワイヤレス・システムでチャンネル1を選択するだけで、すぐにパフォーマンスを行うことができます。

WiFiが多用されている環境で同時に多数のワイヤレス・システムを設定する場合は、どのWiFiチャンネルが使われているかを確認し、それに従ってワイヤレス・システムを設定するのが最良です。Line 6デジタルワイヤレス・システムの数字の少ないチャンネル番号 (1-5) は、最も典型的なWiFiチャンネルを避けて設定されています。Line 6システムの、より数字の大きなチャンネル (6-14) は、特定のWiFiチャンネルを避けています*。チャンネルの選択に関しては、ユーザーマニュアルを参照してください。また、デジタルワイヤレス・システムで使用できるチャンネル数については、この書類の後半にある「使用可能なデジタルワイヤレス・チャンネル数の最大化」もお読みください。なお、XD-V75システムを使用されている場合、適切なデジタルワイヤレス・チャンネルの選択にチャンネル・スキャン機能も利用できます。詳しくはLine6.jpの製品マニュアルページをご覧ください。

* Line 6デジタルワイヤレスのチャンネル番号はWiFiチャンネルの番号とは無関係です。詳細はユーザーマニュアルをご覧ください。

LINE 6デジタルワイヤレスのモード
Line 6デジタルワイヤレス・システムはマイクまたはボディパック・トランスミッターからオーディオを、1MHz未満の帯域幅による2または4、5つのキャリア (搬送波) で対応レシーバーへデータ送信します。複数キャリアを使用するスキームにより、キャリアのひとつが干渉を受けた際にもシグナルが維持され続けます。Line 6デジタルワイヤレス・システムにはRFオペレーションに2種類のモードが用意されており、それぞれにメリットが存在します。

  • RF1モードは、各Line 6チャンネルで4または5つのキャリアを使用します
  • RF2モードは、各Line 6チャンネルで2つのキャリアを使用します

RF1は、干渉に対する最高レベルの保護を提供します。またRF2モードでは、2つの追加デジタルワイヤレス・チャンネル分の余裕があり (XD-V75システムで利用可能)、レーテンシーがわずかに向上するほか、同じエリアで使用されている他のWiFiシステムへの影響も減少します。

最大14デジタルワイヤレス・チャンネル

Line 6デジタルワイヤレス・システムでは最大14チャンネルが提供され、これだけの選択肢が用意されるということは以下のような2つの重要なメリットがあります:

  • WiFiがほとんど使われていないライブ・パフォーマンス空間では14全てのLine 6チャンネルを、同等の信頼性で使用できます。
  • 最大14のデジタルワイヤレス・チャンネルから選択できるため、WiFiセットアップが既に存在するライブ・パフォーマンス空間でも、デジタルワイヤレス・システム用に空きチャンネルを見つけられる最高の機会が提供されます。

使用可能なデジタルワイヤレス・チャンネル数の最大化

以下の方法により、特定のチャンネル上でパフォーマンスのレンジに妥協が要求されるような、干渉を与えるワイヤレス機器が存在するかどうかを確認できます。正しく認識し、他のワイヤレス機器を避けることで、最高のパフォーマンスが実現できます。

A) 最大4台のデジタルワイヤレス・システムを同時に使う場合:

  • WiFiネットワークが存在しているかどうかをチェックします – 最も簡単なのはスマートフォンやコンピューターを使い、近隣にWiFiネットワークが存在するかどうかを確認する方法です。
  • WiFiが全く存在していなければ (またはシグナルの弱いネットワークが1つか2つ存在するだけであれば)、デジタルワイヤレス・システムでチャンネルを選択するだけで使用できます。
  • WiFiネットワークが存在している場合は
    • XD-V75ユーザーの場合はチャンネル・スキャン機能を実行して最適なチャンネルを確認します。
    • XD-V55やXD-V35のユーザーは以下の方法を使ってください:
        • まず全てのLine 6トランスミッターの電源を切ります

      Line 6デジタルワイヤレスのレシーバーの電源を入れ、チャンネルを選択して (数字の少ない番号から試します)、RFステータス・インジケーターの赤いLEDに注目します。2つかそれ以下の赤いLEDが時々点滅するのであれば、そのチャンネルは優れた選択肢です。チャンネルを順番に切り替え、RFレベル・インジケーターの赤いLEDの数が最も少ないチャンネルを探します。

B) 5台以上のデジタルワイヤレス・システムを同時に使う場合:

  • WiFiネットワークが存在しているかどうかをチェックします – 最も簡単なのはスマートフォンやコンピューターを使い、近隣にWiFiネットワークが存在するかどうかを確認する方法です。
  • WiFiが全く存在していなければ (またはシグナルの弱いネットワークが1つか2つ存在するだけであれば)
        XD-V75ユーザーの場合はチャンネル・スキャン機能を実行して最適なチャンネルを確認し、デジタルワイヤレス・システム上でターゲットとなるチャンネルを選択するだけで使用できます。
        XD-V55やXD-V35のユーザーは以下の方法を使うことでターゲットとなるチャンネルが存在するかを確認できます:

        • まず全てのLine 6トランスミッターの電源を切ります
        • Line 6デジタルワイヤレスのレシーバーの電源を入れ、チャンネルを選択して (数字の少ないチャンネル番号から試します)、RFステータス・インジケーターの赤いLEDに注目します。2つかそれ以下の赤いLEDが時々点滅するのであれば、そのチャンネルは優れた選択肢です。チャンネルを順番に切り替え、RFレベル・インジケーターの赤いLEDの数が最も少ないチャンネルを探します。
  • WiFiネットワークが存在する、またはプロダクションに必要な場合は、細かなプランニングと注意深いセットアップを行うことにより、トラブルの無いパフォーマンスを実現できます。
        まず重要なのが実際に使用されているWiFiチャンネルの数と、それがどのチャンネルなのかを確認することです。ひとつの無線LANが複数のチャンネルを同時に使用している場合も、複数の無線LANが同じチャンネルを共有している場合もあります。誰がセットアップを行い、どのような目的で使われるのかが重要です。
        どのWiFiチャンネルが使用されているのかを確認するには、事前にネットワーク管理者へコンタクトしましょう。ネットワーク管理者と連絡が取れない場合は、WiFiアナライザー・ユーティリティをコンピューター上で (例えばWi-Spy Analyzerなど)、またはスマートフォン上で (例えばiOS用のOscium製WiPry-Comboなど) 使用します。
        次のステップは、その部屋の全ての無線LANがパフォーマンス中に必要かどうかを見極めることです。必要ない場合は、パフォーマンス中に電源を切る許可を得るのが最良の方法です。ステージ・マネージャーがいる場合は、ショーのチェックリストに追加しておきましょう。
        2.4 GHz帯の代わりに5.8 GHz帯で動作させられる無線LANがあれば、それも役に立ちます。ユーザーが5.8 GHzに切り替えても2.4 GHzをオフにしないワイヤレス・ルーターもあるので、その点もダブルチェックしてください。
        照明やステージクルー、サウンドクルーなどの機材で2.4 GHz帯の無線LANを使用している場合は、会場の無線LANと同じチャンネルへ切り替えるよう頼みましょう。そうしたシステムは互いに近距離でデータレートも低いことが多いので、相互干渉や会場の無線LANとの干渉も無いでしょう。
        アンテナが正しくセットアップされていることを確認します。
        XD-V75システムを使用している場合は、チャンネル・スキャン機能を実行して最適なチャンネルを確認します。
        XD-V55やXD-V35のユーザーは以下の方法を使うことでターゲットとなるチャンネルが存在するかを確認できます:

        • まず全てのLine 6トランスミッターの電源を切ります
        • Line 6デジタルワイヤレスのレシーバーの電源を入れ、チャンネルを選択して (数字の少ないチャンネル番号から試します)、RFステータス・インジケーターの赤いLEDに注目します。2つかそれ以下の赤いLEDが時々点滅するのであれば、そのチャンネルは優れた選択肢です。チャンネルを順番に切り替え、RFレベル・インジケーターの赤いLEDの数が最も少ないチャンネルを探します。

注意: バックアップが必要になる場合 (トランスミッターの問題、予期せぬ干渉など) に備えて、常に予備チャンネルを残しておくといいでしょう。例えばパフォーマンスに4チャンネルが必要な場合、最低5つの空きチャンネルを事前に確認してセットアップしておきましょう。

一般的なガイドラインと見込み:
各パフォーマンス空間で、WiFiネットワークやその他の2.4GHz機器に関する優先度は異なります。以下にご紹介するのは現実的な見込みに関する一般的なガイドラインですが、各パフォーマンス空間がそれぞれ異なるのと同様、チャンネル数に関しても見込みとは大きく異なる場合があります。

  • オーディエンスが500-1,000人程度のライブ音楽クラブ、小規模な教会、教育施設、コミュニティ劇場パフォーマンス: 他のプロダクションWiFi (サウンドや照明のタブレットなど) により1-14 デジタルワイヤレス・チャンネル
  • マルチメディアの多用される大規模なライブ・パフォーマンス会場や教会:パフォーマンス空間毎に1-8デジタルワイヤレス・チャンネル。部屋やステージのサイズによっては、指向性アンテナや暗号化を適切に使用することで、より多くのチャンネルを使用できる場合があります。(リモートアンテナに関する情報は「デジタルワイヤレス・システム運用のベストプラクティス:リモートアンテナ」を参照)
  • WiFiがアクティブな企業イベント:WiFiルーターの場所と強さにより部屋毎に1-6チャンネル。注意:部屋の距離が離れており、暗号化を有効にした場合には、同じ1-6チャンネルを複数の部屋で使用できる場合もあります。(XD-V75のみ)

結論

Line 6デジタルワイヤレスは、チャンネル選択やチャンネル数に関してクラス最高の自由度を提供するため、ライブ・パフォーマンスやイベントにニーズにマッチさせることが可能です。シンプルなセットアップで数ワイヤレス・チャンネルを使うだけであれば、大抵は短時間で簡単にセットアップできるでしょう。より入り組んだ、あるいはチャンネル数の多いイベントの場合は、全電波ユーザー間 (この場合は2.4GHz) のコーディネーションに、ある程度時間をかける必要があります。距離や空間もツールであることも、お忘れなく。例えば、比較的レシーバーに近く、WiFiルーターからは遠いLine 6デジタルワイヤレス・トランスミッター (マイクまたはボディパック) の場合は、WiFiルーターと同じ周波数でもうまく動作します。

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