ジェフ・シュローダーが語る 音から得るインスピレーションとHelixマルチモジュレーション・プリセット(無償ダウンロード)

 

Helixクリエーターの皆さん、こんにちは。Model Citizensの記事を再び執筆することができ光栄です。今回は新しい曲のアイデアを得るためのクリエイティブなツールとして、どのようにHelixを使用しているかお話したいと思います。ここ数か月にわたり、特定のプリセット内で複数のモジュレーションのレイヤーを使用することでインスピレーションを豊富に得られた例を、ラフに作曲したデモの一部を使用ながら解説します。


今回は、皆さんがダウンロードしていただける“Multi-Modulation”というプリセットを作成してみました。特にポストパンク、ドリーム・ポップ、シューゲイザー系のギターが好きな方には馴染みがあるトーンではないでしょうか。そういったジャンルに馴染みのない方にも、実験を楽しむ良い機会になると思います。私が作成するプリセットのシグナルパスとエフェクト・ルーティングは、ほとんどこのように比較的シンプルな構成です。



このプリセットでは、フランジャー、コーラス、フランジ効果がかかったコーラス、そしてモジュレーション効果が強烈にかかったリバーブという、4種類の異なるモジュレーションをハイライトさせたスナップショットを用意しました。各スナップショットのフロントには、それぞれモジュレーション・エフェクト1種類のみとなっていますが、実はその後ろに複数のモジュレーションのレイヤーが同時に走っています。同じくモジュレーションがかかったディレイとリバーブをたっぷりとかけ、これらすべてのサウンドが混ざり合うことで、独特のサウンドが生まれます。それにより新たなアプローチやアイデアを得られ、毎回新しいリフを少なくともひとつは思いつき、作成することができます。


今回のケースはモジュレーションですが、Helixのようなデバイスを使用する利点のひとつは、1種類のエフェクト・タイプをより深く掘り下げトーン作りができる点です。新旧を問わず、Helixのユーザーはそのほぼ無限とも言える選択肢にときには圧倒されてしまう、という声をよく耳にします。それは人間同士と同じで、機材とユーザーが有意義な関係を築くには時間を要することもあるでしょう。しかしながら、時間をかけてじっくり使ってみることは十分意義があります。まずは1種類のみのエフェクト、またはアンプ・タイプに的を絞って、そこからどれぐらい幅広いサウンドやトーンを得られるか深堀りしてみることをお勧めします。鉄則に則るも背くも自由、自分だけのルールを作るのもアリです。Helixは自由度が高く、できないことはないに等しいのですから。


このプリセットを作成する際にまずインスピレーションを得たのは、ポストパンク全盛期にモジュレーションを非常にユニークかつクリエイティブに使っていた、ジョン・マッギオーク(スージー・アンド・ザ・バンシーズ)、ヴィニ・ライリー(ザ・ドゥルッティ・コラム)、ロビン・ガスリー(コクトー・ツインズ)、という、私が敬愛して止まない3人のギタリストでした。とは言え、このプリセットは彼らの特定のサウンドや曲を再現しようとしたものではありません。彼らのプレイするサウンドを聴き、あくまでそれらに似通ったHelix内蔵のエフェクトをチョイスし色々遊んでみた結果です。


今からご紹介するのは、ここ何週間かでこのプリセットを使用し、さっと簡単に制作したデモです。あまり作り込みはしておらず、忘れてしまう前に自分のアイデアを具体化しました。時間があれば、シンプルなドラム・ビートとベース・ラインを(普段はシンセと共に)追加する場合もありますが、それよりは忘れてしまわないよう即DAWを立ち上げてアイデアをある程度まとめてしまうことが多いです。



サンプル1



サンプル1では、メインで使用しているモジュレーションは“Gray Flanger”です。スクリーンショットでご覧いただいている通り、レートはかなり遅めです。試しに、これ以上になると気分が悪くなると思う寸前までレートを上げてみてください。ディレイ・タイムのみに影響するテンポも変更してみてください。そうすると、モジュレーション同士がどのように相互作用を受け変容するかがわかります。



サンプル2



サンプル2は、懐かしい80年代を彷彿させるコーラス/ディレイ/リバーブ・サウンドです。ここでは、ドラム・マシーンとベース・シンセ、そしてソロのギターのみの2バージョンを用意しました。これにより、それぞれのエフェクトがどのような効果をもたらしているかよりはっきり聴きとれるはずです。ここでは“Jazz Rivet 120”アンプ・モデルと非常に相性が良い“70s Chorus”をチョイスしています。ですがHelixには優秀なコーラス・モデルが数多く搭載されていますので、是非他のコーラスに変更して試してみてください。ちなみに私は、“Trinity Chorus”も大のお気に入りです。


サンプル3



サンプル3では、ステレオ・スペクトラムの中で絶妙な倍音と躍動感を得るために、フランジャーとコーラスの両方を使用しました。



サンプル4



サンプル4では、トーンに美しいアンビエント・サウンドを追加するために、ミックスの値を上げ、モジュレーションをかけたリバーブのサイズも上げてみました。


今回プリセットの作成とそのサンプルをプレイする際、シングルコイル・ピックアップを搭載したギターとヴィンテージの出力装置を使用しました。使用するギターとピックアップのタイプによって、ご自分の好みのスタイルやテイストになるよう適宜セッティングを調整してみるのも良い経験になると思います。また今回のプリセットはステレオが適しています。モジュレーション・ブロックを入れ替えるとどのようなことが起こるかを含め、このプリセットを使い、是非色々実験的なことを楽しんでください。これまでとは違った弾き方や音作りの方法を思いついたり、新たなスタイルの音楽を生み出すきっかけになれば幸いです。


Helix詳細


ジェフ・シュローダーは、ロサンジェルスを中心に、スマッシング・パンプキンズとナイト・ドリーマーのギタリストとして活躍するミュージシャンです。ギターの他には、コーヒーと20世紀の実験文学が大好物です。


Main Image: agsandrew


*ここで使用されている全ての製品名は各所有者の商標であり、Line 6との関連や協力関係はありません。他社の商標は、Line 6がサウンド・モデルの開発において研究したトーンとサウンドを識別する目的でのみ使用されています。