Helix Expert Report

石橋楽器新宿店 田淵宏晃【米国本社研修課程修了】

※本記事は2020年1月28日時点のもの、2020年7月より同渋谷店に異動

「制約のない自由な環境で作られていることを米国研修で実感しました」

2020.01.28

Ishibashi nakajima main

JR新宿駅から徒歩約5分、都営新宿線・新宿三丁目駅のC4出口からは徒歩0分という好立地を誇る石橋楽器新宿店。初心者からプロまで幅広い客層を満足させる同店には、2名のHelix Expertが在籍している。ここに紹介する田淵宏晃さんは、90年代洋楽の影響からコンパクト・ペダル派を自認しながらもHelixの魅力を熟知し、米国Line 6(ヤマハギターグループ)本社での研修を受けてさらに知見を深めたエキスパートだ。



【店舗情報】
〒160-0022
東京都新宿区新宿3-3-2 地下鉄会館ビル 1F~4F
TEL: 03-3350-1484
WEB: https://www.ishibashi.co.jp/store/shinjuku.html


「Line 6の名器の音」がHelixに受け継がれているのが嬉しいですね

──田淵さんは特にジョン・フルシアンテに影響を受けたそうですね。
ええ、今はバンドなどはやっていませんが、高校の時からギターを弾いています。高校、大学と進む中でいろいろなギタリストの影響を受けたのですが、その中でもフェイバリットはジョン・フルシアンテです。彼がペダルを多用するタイプなので、僕自身も自然に機材への興味が湧いたという感じですね。現在はギターとアンプと歪みひとつという感じのシンプルなセッティングで楽しんでいますが、以前はLine 6のDL4やDM4、FM4、M9などを愛用していて、ジョンの音を追求していた時期もありました。

──M9などの個人的な使用を経てHelixに触れた際は、どういう印象でしたか?
Line 6の良いところは残しつつ、それまでのPODシリーズとはガラッと変わったという印象でした。私見の極論ですが、ギタリストは良いギターと良いアンプがあれば生きていけると思うんです。Helixは、そのアンプの部分が非常に良くなっていたので、もはやこれだけで十分だなと。一方で、僕らの世代にとってはとても重要なDL4やFM4といった名器の音が、Helixの中に「レガシー」として継承されていたのも嬉しかったですね。それらが自由に選べて、さらにアップデートの度にサウンドや機能が増えていくというのも素晴らしいです。ギタープロセッサーは、Helixが登場したことによってようやく選べる状態になったことも、ユーザー視点から考えるとまさに革命的だったと思います。

Helixの音作りの方法はひとつじゃないんです

──2019年夏、米国での本社研修課程を修了しています。
とても良い経験でした。Line 6の技術力やHelixへの理解が深まったことはもちろんですが、日本とは明らかに違う環境で開発されたものなんだなぁということをしみじみ感じました。Helixを開発しているのは、自宅でもアンプで大きな音を出せる環境にいる人達なんです。日本の環境のように、大きな音が出せないからモデリングで……という発想ではない。もっと自由な発想と、制約のない環境で作っていると理解できました。そして音楽ツールは、こうした環境で作られるべきだと感じました。Helixでは、ひとつの音を作る方法はひとつだけではなく、発想次第でいろいろな作り方ができるじゃないですか。そういった自由さは、ここから生まれているのかと実感することができましたね。

──そこで得た経験は、店頭ではどのように生きているでしょうか?
そうですね、当店にはさまざまなお客様が来店されます。中には、真空管にこだわり続けてきたという方や、コンパクト・ペダル派でどうしてもアナログにこだわる方もいらっしゃいます。僕自身、その気持ちもよくわかリますし、それにこだわることも大切だと思いますが、良いものは良いという柔軟な考え方、選び方のほうが、実はその方の用途に合っている場合もありますので、Helixに少しでも興味があればぜひ触っていただくようにご案内をします。アナログの音が好きだけど、アンプや大きなボードを見直したいと考えているベテランの方に、Helixの音は自信を持って勧められますし、その結果、サウンドに関して満足感を得て購入して下さる方も多いです。

アイディア次第でより複雑にもシンプルにもできます

──田淵さんが個人の趣味を踏まえて作ったプリセットを紹介してください。
僕が家で使っていたり、過去に使用していた機材をHelixに置き換える形で作りました。基本的には、アンプとキャビネットで音を作り、歪みはお気に入りのペダルをセンド/リターンにつないで、あとは絶対にワウは外せないので(笑)入れています。これが僕の好みの音の核になる部分で、加えて、遊ぶためのランダムシーケンスのフィルターやルーパー、ディレイ、リバース・ディレイ、コーラスなども入れています。どのモデルも本当によくできているなと感心しますね。それと……リバーブを入れないでギターを弾くのは服を着ないで外を歩いているように感じるので(笑)、リバーブも入れていますね。

【オリジナル・プリセット】


──核となる部分はシンプルですが、ポイントで遊べる仕様ですね。
ルーパーは、あえてハーフスピードでループして、途中から普通のスピードに戻すと倍速になるんですよ。そこにリバースのディレイをかけたりすると、すごく面白いですね。Helixの良さは柔軟なところで、一台ですべて完結できるのですが、好みのペダルがあるならあえて完結しなくてもいいし、音の作り方もひとつじゃないところが良いですよね。例えば、僕はこのプリセットにブースターを入れていませんが、ゲインを上げたいならブースターを入れてもいいし、ブースターを入れずにスナップショットでアンプのゲインの設定を変えてやってもいいんです。アイディア次第でより複雑にもできるし、シンプルにもできます。自由に音作りを楽しむツールとして、Helixを楽しんでほしいですね。



【Helix Expert Profile】
田淵宏晃(たぶち ひろあき)
2004年より石橋楽器店で勤務。初任地は渋谷店で、幾度かの異動を経て、2018年秋より新宿店に在籍。ギターは高校の時より弾き始め、曰く「ラックが終焉の時期を迎えた後に機材に夢中になったので、コンパクト派」。Line 6がモデリングする実機を一通り使ってきたからこそHelixの良さがよくわかると言い、特にベテランのコンパクト派の顧客からは大きな信頼を寄せられている。

原稿協力:井戸沼尚也
写真:星野俊

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