TIPS/テクニック

鈴木健治の「ギターレコーディング・マスタークラス」 第2回

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ギターレコーディング導入編

こんにちは、ギタリストの鈴木健治です。
第2回を迎えた鈴木健治の「ギターレコーディング・マスタークラス」、今回は実際にレコーディングする時の導入部分として必要な事やサウンドメイクの事にも触れて行こうと思います。

シニア層の皆さんにはカセットMTRの現代版、デジタルネイティブな皆さんにはギターレコーディングの基本的な考え方、のように捉えて頂けたらと思っています。

あまり難しく考えず、ギターレコーディングを楽しめるよう進めて行きましょう。

リラックスしてレコーディングを楽しみましょう

前回のギターレコーディング・マスタークラスでは「現代の宅録で出来ること」と題して、宅録でも製品クオリティの音源の制作が可能である事から、近代マルチトラックレコーディングの歴史にも触れながら、Line 6 Helixに代表されるようなリアルなアンプシミュレーターや、PCベースのDAWによって可能になった事などをお伝えしました。

今回は「PCベースのDAWによって可能になった事」、、言い方を変えると「便利になった事」の力も操りながら、簡単にレコーディングする方法を提案して行きたいと思います。

簡単にレコーディングと書くと、レコーディングは楽な事では無い!という意見が飛んできそうですね、もちろんそれも一理あるのですが、ここでは「アナログ2トラックに全員同時録音」なんていう緊張感高めなシチュエーションでなく、PCベースのレコーダーと少しのハードで行う、どちらかと言えばパーソナルでリラックスな環境でのレコーディングなので、存分にリラックスしていいんです。

むしろなるべく楽をして、レコーディングを楽しんで頂ければと思います。

用意するもの

ギターの他に、パソコン、DAWソフト、オーディオインターフェース。これだけあれば自宅環境でのレコーディングはすぐに始められます。
パソコンはMac、Windowsどちらでも構いません。
意外と敷居は低いんですよ。

パソコンのスペックは高いに越したことはないのですが、ザックリとここ数年以内のモデルであれば大抵大丈夫かと思います。(正確にはDAWソフトのウェブサイトなどで御確認下さいね)
参考までにSteinbergのCubase Pro 9の動作環境はこちらで確認出来ます。
https://japan.steinberg.net/jp/products/cubase/system.html

Line 6のHelixは、アンプシミュレーター、エフェクトプロセッサーでもありながら、USBオーディオインターフェース機能も内蔵しています。
ここではHelixとCubase Pro 9の組み合わせで進めて行きますが、この組み合わせだけでクオリティの高い音源を作る事は十分可能なんですよ。

セッティング

ここではHelixをオーディオインターフェースとしても使います。

• HelixのUSB端子とパソコンのUSB端子を繋ぎます。
• Cubase Pro 9 のデバイス設定でASIOドライバーをLine 6 Helix (Rack)にします。
• VSTコネクションの入出力をLine 6 Helix (Rack)に設定します。

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*Macの場合はこれだけで基本設定は終わりなのですが、Windowsの場合は予めASIOドライバーをインストールしておく必要があります。

詳しい初期設定についてはLine 6およびSteinbergのサポートページ等で御確認下さい。

実際にレコーディングしてみましょう

リズムの打ち込み。
ギターをレコーディングする前に、ガイドの意味も含め簡単なリズムとベースを予め打ち込んであります。
動画は48秒〜

1トラック目のギターをレコーディング

まずはコードバッキングをレコーディングします。
動画8:18秒〜
すでに打ち込んであるリズムに合わせて、8小節ほど録音してみましょう。
Helixでの音色は、クリーンで広がりのあるトーンを作ってみました。
アンプモデルがCali IV Rhythm 1です。
ドラムとベースが細かく刻んでいるので、ギターはあえて少しゆったり目のスペースを作るようなフレーズを弾いてみました。
こうする事で各楽器が引き立て合う効果もあります。

良い感じで録音出来たら、もう1本ギターをダビングしてみましょう。
動画12:25〜

*別のトラックにギターを重ねる事を「ダビング」と言います。
新たにオーディオトラックを作って、マーシャル系のクランチでタイト気味にフレーズを刻んでみました。ベースのスラップと当たらない様に注意しましょう。

このように音色と共にフレーズのリズムの細かさに変化を付けると、2本のギターが互いに邪魔せず引き立て合う形になるんですよ。

CUSTOM TONEでプリセットのシェア

今回使った Helixの音色はLine 6のCUSTOM TONEにアップロードしています。
Helix、Helix Rack、Helix LTまたHelix Nativeでも読み込めますので、チェックしてみて下さい。

<CUSTOM TONE>
https://jp.line6.com/customtone/
ここでHelixシリーズを選ぶと、Helix用のパッチが多数アップされていて、ダウンロードすることが出来ます。

今回アップしたのは、一つ目のクリーンが「Chorus Clean」ID 3190672。二つ目のクランチが、「MS CRUNCH」ID 3190673です。
CUSTOM TONEのサイトでIDもしくはKenjiSuzukiの名前でも検索出来ます。

是非Helixのサウンドメイクのヒントにお役立て下さいね。

まとめ

今回はLine 6 Helix とSteinberg Cubase Pro 9を使って、2トラックのギターをレコーディングしました。ドラムとベースで細かくリズムを刻んでいる時の2本のギターを両立させる方法にも触れましたが、ギターレコーディングのアイデアは、まだまだ沢山あります。

次回以降もHelixでのサウンドメイクはじめ、役に立つアイデアを紹介しますので、ご期待下さいね!


著者プロフィール:鈴木健治(すずきけんじ)
Kenji Suzuki

ギタリスト、ギターサウンドデザイナー、トラックメーカー。
神奈川県出身。
10歳でギターを始める。
20歳でプロとしてのキャリアスタート。
以来、スタジオミュージシャンとして、宇多田ヒカル、MISIA、BoA、EXILE、倖田來未、SMAP、安室奈美恵、坂本真綾、ケツメイシ… 他沢山のアーティストの作品に参加。その数は1000曲を超える。
キレのあるリズムギター、歌う様なリードギターは、1990年代後半~2000年代のJ-POPでのギターアプローチに多大な影響を与える。
2018年でプロミュージシャン生活30年を迎える。

ギタリスト鈴木健治オフィシャルサイト

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