TIPS/テクニック

阿部学のHelixトーク 第14回

『同系統エフェクトを複数使用する その2』

今回のHelixトークは前回の続きで、再び同系統エフェクトの複数使いについて語ってみようと思います。

前回はディレイを複数使うという方法をご紹介しましたが、今回はモジュレーションです。
ただ、ディレイと違って、モジュレーションを闇雲に複数かけてしまうと物凄い音になってしまう事が多いので、ここでは僕がよく使う、特定の効果を狙って「コーラスを複数かける」という方法を紹介します。

昔から自分自身でこだわって使用しているクリアトーンがあります。
俗にクリスタルクリーンなんて言われ方をしますが、その音を作ろうと思った時、まず普通に1つだけコーラスをかけてみたら全然物足りなかったのです。
その時思ったのが「足りなかったらもう1個追加すれば良いのではないか」という発想です。
その頃はエフェクターのセオリーとか全く気にしてなかったので、逆にそれが良かったのかもしれません。

以前セミナー時に「阿部さんがコーラスを複数かける意味とはなんでしょうか?」という質問を受けた事があるのですが、上記の答えをそのまま返しました(笑)

という訳で、まずはコーラスを2つ使用した一例。
まず「Chorus」を置き、さらに「Trinity Chorus」を置きます。
ここでのポイントは、両方とも揺らし系のパラメータ(SpeedやRate)は抑えるという事です。
そうする事で揺れの少ない、深みのあるコーラスサウンドが出来るのです。

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※ディレイ、リバーブもHelixでかけています。

次は違うタイプのコーラスのかけ方。
ここではコーラスではなく、ピッチシフターを使用します。
そうPitch Detuneです。90年代初頭に大流行したラック型ハーモナイザーも、ほとんどの人がこの使い方をしていたと思います。
そのサウンドをHelixで再現する場合は「Dual Pitch」を使うのが良いと思います。

やり方は1つめのピッチを -10Cent、もう1つのピッチを +10Cent。
そしてMix 50%、V1Pan Left 100、V2Pan Right 100に設定します。

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こうすると、揺れの少ない広がりのあるコーラスサウンドが得られますね。
そしてさらに、先ほどの「Trinity Chorus」を追加すれば、より一層深いコーラスサウンドを作る事が出来ます。


※ディレイ、リバーブもHelixでかけています。

最後はディストーションサウンド。
ここでも先ほどの「Dual Pitch」を使用します。
このやり方はヴァン・ヘイレンですね!
このかけ方をすると、ステレオ感のある広がりのサウンドが得られます。
特にヘッドホンで聴くと、この「Dual Pitch」をONにした瞬間、音が左右に分かれるのが気持ち良いです。
これでも充分すぎるのですが、さらに「うねり感」が欲しい場合は薄めに設定したコーラスを追加すると、もっと広がりのあるサウンドを作る事が出来ます。

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という訳で、今回はコーラスを複数かけるやり方を取り上げてみました。
Helixは自由度の高いプロセッサーなので、まだまだ色々な発想を活かす事が可能です。

皆さんも色々試してみてください!

★阿部学主宰Helix ユーザーグループ(Facebook)への参加
https://www.facebook.com/groups/910662599034878/


Manabu Abe

著者プロフィール: 阿部 学 (あべ まなぶ)
13才でギターを始め、バンド活動。
その後は六本木ピットイン等でのセッション活動や楽器メーカーのインストラクターを経て、女性ユニットZweiのサポートギタリスト、 ディズニーリゾートでのショー出演、セッション活動、ゲームミュージックのレコーディング活動等、精力的に活動。
最近ではLine 6のデモ演奏・セミナー、岩佐美咲(元AKB48)のサポートギタリスト、渡辺美奈代のアニバーサリーライブでのギター参加、他にギターレッスンにも力を入れている。

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