TIPS/テクニック

阿部学のHelixトーク 第6回

『Wet / Dry サウンド作りにチャレンジ』

今回はHelixによるWet / Dry サウンドの作り方を解説したいと思います。
Line 6が提供するこちらの動画で凄腕デモンストレーター、ショーン・ハリーが解説していますが、こちらでもサウンドサンプル付きで紹介します。

Helixで音作りをする時、シグナルをスプリットさせて空間系エフェクターをかける方が多いと思いますが、これを利用します。
今回は『ディレイ音のみに他のエフェクターをかける』という方法です。
こうする事で、ドライ音を残したまま広がりのサウンドを得られます。

まずシグナル上にディレイ(Simple Delay)を置き、ACTIONボタンとジョイスティックを使ってスプリットさせます。
この時点でもドライとエフェクト音が分かれる訳ですが、ディレイのMixを100%にしてドライ音とエフェクト音を完全に分けます。

そしてディレイを置いてあるシグナルに他の空間エフェクト、ここでは70s Chorusを置いてビブラートをかけてみましょう。
こうする事で、ディレイ音のみにモジュレーションがかかるようになります。
さらにこのシグナルにリバーブ(Hall)を置いてみましょう。
こちらもディレイ音・モジュレーション音のみにリバーブがかかります。

しかしこの状態ではエフェクト音が大きすぎると思うので、シグナル結合部分にあるMerge MixerのB Levelで好みのエフェクト量に調整します。

どうでしょうか?

センターにドライ音が残りつつ、ステレオディレイにビブラート&リバーブがかかり、より広がりのあるサウンドが得られます。

あと少し違う使い方ですが、このシグナルにボリュームペダルを置けば、足元のコントロールでドライ音エフェクト音のミックスを好みで調整する事が可能です。

今度はディストーションサウンドでも同じ事をしてみましょう。
今度は70s Chorusの代わりにSimple Pitchを置いてみます。
このSimple Pitchをピッチシフターとしてではなく、ピッチデチューンとして使用します。
ピッチデチューンという使い方は、80年代~90年代初頭にラックエフェクターが大流行した時に流行った使用方法ですね。
一時期ヴァン・ヘイレンもこの使い方をしていました。
要はピッチを少しずらしてコーラスのような効果を得る方法です。
コーラスとは違い、揺れの少ない広がり感あるサウンドになるのが特徴なんです。

こちらも、ディレイ音のみにピッチデチューンをかける(今回はシングルピッチ)のが今回のやり方です。
そしてMerge Mixerで好みのレベルに調整します。

先ほどのクリーンと同じようにセンターにドライ音が残り、左右のディレイ音のみにピッチデチューン&リバーブがかかります。

アンプモデリングにはANGL Meteorを選択しました。

いかがでしょうか?
今回はサンプルという事で少し派手めにエフェクトをかけてみましたが、こちらもドライ音とエフェクト音を分ける事によって、芯が残りつつもデチューンならではの分厚いサウンドとリバーブ感が得られるのがお分かりだと思います。

この他にもお好みのエフェクトを使い、是非とも独自のサウンド作りにチャレンジしてみてください。
Line 6 Helixは本当に色々な使い方が出来る自由度の高いギタープロセッサーです。

★阿部学主宰Helix ユーザーグループ(Facebook)への参加
https://www.facebook.com/groups/910662599034878/


Manabu Abe

著者プロフィール: 阿部 学 (あべ まなぶ)
13才でギターを始め、バンド活動。
その後は六本木ピットイン等でのセッション活動や楽器メーカーのインストラクターを経て、女性ユニットZweiのサポートギタリスト、 ディズニーリゾートでのショー出演、セッション活動、ゲームミュージックのレコーディング活動等、精力的に活動。
最近ではLine 6のデモ演奏・セミナー、岩佐美咲(元AKB48)のサポートギタリスト、渡辺美奈代のアニバーサリーライブでのギター参加、他にギターレッスンにも力を入れている。

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