真空ホロウ(松本明人)

2006年にロック・バンドとして始動し、現在は松本明人(vo&gt)さんのソロプロジェクトである真空ホロウ。クールなアーティスト性と激情を爆発させるライブ・パフォーマンスが若者を中心に多くの支持を集めています。松本明人さんは現在、ギター・システムの中枢としてHelixを使用されており、まずは導入のきっかけからお聞きしました。

「そもそも僕はエフェクターが大好きなのですが、今まで総称してマルチ・エフェクトというものを拒絶していました。でもそれはおそらく憧れの裏返しでもあって、『それだけで音を作れたらすごいじゃん』とどこかで思っていたのかもしれません。例えばどこのハコに行っても備え付けのJC-120で良い音を出せる、というのは単純に素晴らしいことですからね。そんな僕がHelixを導入するに至ったきっかけは、膨大なエフェクターをつないでいたためにトラブルでライブが止まってしまったことがあったんです。10分〜20分も復旧せず、最終的にはすべての機材を借りてなんとか乗り切りました。原因はギターからエフェクトまでのシールドだったのですが、ひとたびトラブルが起きてしまうとパッチケーブルや電源も含め、原因究明が困難でした。だったら思い切ってサウンドメイクはHelixでまとめて、シールドではなくワイヤレス・システムに変えてしまおうと決めました。かなり極端な人間でして(笑)。それが2016年の春頃ですね」。


“ノイズの少なさに驚きましたね。革命と言っていいレベルでした”

そこから購入に踏み切り、2016年7月10日に開催されたワンマンライブ“真空パック vol.10.1520160710”では全編にわたりHelixが使用されました。「初めて触った時は、事前にすごく調べていたので、これはもはやマルチではないとんでもないメカであると認識していたのですが、期待以上に音が良かったですし、パソコンを触っているような感覚でワクワクしました。『コンパクト・エフェクターでなければ嫌だ』という固定概念を見事に打ち砕かれまして、どの音色にしてもまったくストレスがなかったです。しかもすぐに音を作ることができたので助かりました」。

「今年で真空ホロウを始めて10年になるのですが、ちょうどHelixを導入して初めてのワンマンがちょっとした原点回帰とこれからやっていこうとしているもの、つまりすごく古い曲と新曲だけのセットだったんですね。その時に僕の期待に十分応えてくれたので、まったく問題なく使えると感じました。それどころか直前まで使用していた巨大なエフェクト・ボードで作ろうとしていたけどなかなか納得のいかなかった音も、例えばつなぐ個体が多いためにノイズが気になるのであればHelixにはノイズ・キャンセラーも入っていたりするので、ひとつひとつクリアできました」。

「同じぐらいのタイミングでイヤモニも導入したのですが、ノイズの少なさに驚きましたね。革命と言っていいレベルでした。それからボードとHelixを同時に鳴らして比べてみたところ、コンプやリバーブのかかり具合などはコンパクト・エフェクターよりも好みでした。特にリバーブはLine 6のVerbzillaが僕のサウンドにとって不可欠で、1stミニ・アルバム『contradiction of the green forest』からずっと使っているのですが、その感じをうまく出すことができたのでとても気に入っています。なければならないものがすべて入っていて、これまで出していたサウンドで出せないものはない。あとは僕がどれだけうまく使いこなせるかにかかっている気がします」。


“踏み切れない量のエフェクトを使うことって、やっぱり夢じゃないですか”


音質はもちろんのこと、筐体の質やサイズ、液晶といったあらゆる面で利便性を感じているそうです。「エフェクト・ボードが大きいと当然立ち回りが不自由になりますが、そこが楽になったことも大きいです。あとはやはり自分のアンプがなくてもすぐにライブをすることができるということ。アンプのシミュレートも内蔵されているので、どこにでもあるJC-120につなげば自分の音を出せますし、最悪アンプがなくてもラインアウトで対応することもできます。それと、僕はエフェクターを踏むのが好きなんです。でもスイッチが堅いものだとたまに踏み抜いてしまうことがあったので、音よりも筐体の頑丈さを優先してしまうこともありました。その点Helixは踏みやすいし頑丈なので壊す心配もないと思います。液晶が大きくてLEDの色が見やすいことも助かります。すごく目が悪いので、普通のLEDだとオンにしたと思ったのにオンになっていないこともあったのですが、それがないというのが良い。特にギター・ボーカリストにはオススメできると思いますね」。

活動開始から10年という節目を迎え、12月には10周年を祝したアニバーサリー公演を控えるなど、ますますアグレッシブに活動していく真空ホロウ。今後もHelixは、そのギター・システムを支える重要な役割を担い続けていくに違いありません。「僕、最終的には冷蔵庫みたいな巨大なラックを組みたかったんです(笑)。踏み切れない量のエフェクトを使うことって、やっぱり夢じゃないですか。でもHelixにはもう踏み切れない量のトーンが入っている。だから僕のひとつの夢を叶えてくれたものでもあるんです。現状はその機能の多さにまだ追いついていない部分もあるので、これからもっと使いこなすことができればいいなと思っています」。

文=秋摩竜太郎




使用機材

 

Helix

新世代のギタープロセッサー

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